20世紀に思う
サガルマータについて簡単におさらいします。地球最高峰サガルマータは標高8850メートル※。ゆうに富士山の倍以上の高さを誇る山です。各大陸の最高峰※と比べてみても他の追随を許さず堂々の最高峰です。
それ故世界の登山家たちが憧れ、頂点を目指しました。人類初登頂以来、様々な登山ルートやアタックポイントが登山者の間で研究されたりノウハウが受け継がれ蓄積されて現在では述べ1万人を超える人が登頂に成功したとされています。
最近の日本での話では三浦雄一郎氏が80歳で登頂に成功したり、女性芸人が挑戦をしたりしたのは記憶に新しいところでしょう。
しかし標高8000メートルを超える世界は、簡単に登ることはできません。事前の適応訓練、正確な情報把握、そして天候を味方につける強運が必要となります。何せ8000メートルを超える世界はいかなる生物も生存することができないまさに「死の世界」だと言われています。
空気は地上の3分の1しかなく、例え遭難してもこの高さではヘリを飛ばすことは出来ないので救助をすることはできず、草花も育つどころかそれを分解する粘菌の類いも生活できない世界なので、そこで行き倒れたら分解されずそのままの姿で残ることになります。ですから、そこにいるだけで生命維持活動を絶えず行わなければならないので「死の世界」と呼ばれており、そこはまさに神の領域と言っても間違いではないと思います。
ではなぜそんな「死の世界」と呼ばれるような場所に危険を冒して挑むのでしょうか。
それは、南極点を目指した時と同様に、国威発揚という名目があったと筆者は思います。
20世紀になって目指した世界の3つの「頂点」。北極点、南極点、そしてサガルマータ。北極点は1907年にアメリカの探検家ピアリー、南極点は1911年にノルウェーのアムンセンが到達しており、巨額の費用とプライドを投じたにも拘らず先を越されたイギリスは相当躍起だったのは当時のお金と人員の投入の仕方を見れば明らかでしょう。
1920年代になって本格的に計画を始めましたが、ノウハウも前例もなく、頂点を目指して目指すもなかなか到達できない時期が続き、犠牲者も出ました。
※8850メートルもしくは8848メートルと諸説あります。
※大陸最高峰第二位は南米大陸のアコンカグア(6959メートル)