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20世紀に思う

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 ところが、21世紀になってからの科学の進歩もすごいもので、2003年にエリス、ハウメア、続いて2005年にはマケマケといった冥王星よりも遠くを公転する星が次々と見つかったのだ。それらの大きさや性質などを見れば、どれも冥王星のそれと似ている。もしやこのような第10、第11の惑星はもっといっぱいあるのでは?以来学者の間ではそんな見方に変わり、現在では海王星の軌道の外側にある、エッジワース・カイパーベルトと呼ばれる辺りに、冥王星程の大きさのものやその他大小の天体が多数存在している事が確認されている。
 今まで太陽系の端っこを守ってきた冥王星の立場は?惑星というものについて定義を決めるべきではないか?そんな議論がされるさなかにニューホライズンズは冥王星、さらにその向こうに向けて飛び発ったのだ。
 そして同じ年の8月、国際的な見解として惑星についての定義が決められた。太陽を公転する天体(月などの衛星はのぞく)を、

 惑星 準惑星 太陽系小天体

と大きく3つに分けることとなった。惑星として定義されるのは水星から海王星までの8つの星であり、冥王星は惑星の定義を満たすことができず準惑星(dwarf planet)に類されることになった。
 さらに冥王星を始め前述の3つの星に加えて、火星と木星の間を回る小惑星帯の星々の中で最も大きいセレスと呼ばれる星の合計5つが準惑星として新たに枠組みされ、冥王星は「準惑星」の代表となった。「準」の字が着くだけに、格下げされた感じが否定できない。
 というわけで「惑星」に向けて地球を発ったニューホライズンズは数奇にもその途中で目的地は「惑星」でなくなってしまったのだ。「準惑星」に向けられて飛んだ最初の探査機にはなったのだけど――。頑張れよ、ニューホライズンズ。君の向かっている先は「惑星」じゃなくなったけど、そこは人類がまだ到達したことのない太陽系の果てであることと、君自身は地球人類の夢を載せて航海を続けていることは変わらないんだよ。そこで何かを見つけておくれ。

作品名:20世紀に思う 作家名:八馬八朔