20世紀に思う
かつてガガーリンは地球を飛び出して、母なる地球を見たときにこういいました。
「地球は青かった」
諸説はありますが、見たままを見たままに言ったのですからそれは大きな意味のある言葉なんだと思います。
著者は当然宇宙に行ったことはありませんので、地球を外から見てどう思うかはわかりかねるところですが、テレビや写真でみる地球の映像や写真には国境なんてものはないのです。ガガーリンが見た地球というのは国ごとに色分けがされたものではなくて、まさに国境のない宇宙に浮かぶ一つの青い天体だったはずです。ですが、彼は冷戦時代の軍人ですから「地球には国境線などない」とはとても言えなかったでしょうし、もし言ったとしても「地球は我々ソビエトのものだ」的な表現に摩り替えられた可能性だって十分にあったかもしれません。
これも当たり前の話ですが国境は人が引いたもので、人間はその人が作った線をめぐって21世紀の現代でも世界中でいさかいが起こり、時には血を流すこともあります。日本は平和な国ですが、残念ながら日本でも国境をめぐって問題が起こっています。国威発揚、国の威厳を示す手段として小競り合いや衝突を勃こす、もしくは仕掛けるというのは20世紀にはよく採られた手段ですが世界の多くの国家はそれを冷ややかな目で見ています。21世紀の現代においては少し時代遅れなそれなのでしょう。
残念なのはガガーリンは地球帰還後戦闘機での訓練中に亡くなっています。そしてソ連という国も現在はなく、あの時代よりは自由に言論をすることができる世の中になっています。もし彼が健在であったなら、21世紀の時代で何を思い、何を話されるのかはとても興味があるところです。
ロシアの宇宙ステーション「ミール」ロシア語で「平和」だそうです。宇宙には国境がなく、研究員も国籍関係なしに研究が続けられています。政治やナショナリズムが人類と科学の発展の妨げにならないことを著者は切に願ってやまないとともに、生きているうちに広大な宇宙に生命をもたらしたこの母なる地球を外側から見てみたいものです――。