20世紀に思う
話を1961年に戻します。当時のソビエトが打ち上げた宇宙船(ボストーク)、主たる目的は科学の発展というよりも、国威発揚といった政治的な問題のほうが大きかったと思うのです。
当時はアメリカをはじめとする資本主義経済の国家と社会主義国家との対立が激しい冷戦時代でした。どちらかが機先を制すればどっちにもつかない国家が傾き勢力分布図を変えることができます。これは20世紀始めの帝国主義と大きく変わっておらず、その目指す先は地球ではなく宇宙にとって変わっただけのような気もします。そもそもこの時代になると地球のほとんどの地域はカバーしてしまっていたわけですから。世界の覇権を獲るためにソビエトからみればアメリカは絶対に負けられない相手、アメリカもアメリカで強力に宇宙開発を進めていました。その競争の結果生まれた産物として、
・ ガガーリンの宇宙有人飛行
・ アポロの月面着陸
・ 各惑星への探査機打ち上げ
などがあり、国威発揚のもとさまざまな科学の発展と発見があったわけです。
どちらに軍配を上げるかといえば、人はソ連が先、月はアメリカ、ちなみに惑星は火星に着陸したのはアメリカ、金星はソ連……。政治的な観点から見ますと、ソ連はアメリカを意識し、アメリカに勝つために国を賭けてでも一番に宇宙に人をとばそうと思ったでしょうし、アメリカも負けまいと一番に地球以外の天体に人を送ったのです。
たとえ政治的な背景があったとはいえ、どちらも科学の発展に寄与したことは間違いないでしょう。ただそこに順位を付けてしまうとなんとも政治的に利用されている感じがしますし、ランキングそのものが陳腐なものに見えてならないので著者としては「どれも素晴らしい発見」と結論付けたいところです。