ブルーとホワイト
親父の想い
吉林省は過っては満州国であった。親父の兄は軍人としてそこにいた。
その時、現地人に親切にされたそうであった。今では自動車工場もあり発展しているが、だれもがその恩恵に授かる訳ではなかった。敗戦真近で開拓民の食料も少ない時に、何人かの中国人はわずかな品物と引き換えに交換してくれたそうだ。その兄は日本に帰国してからもその時の嬉しさを話していたと言う。その兄と親父で立ち上げた工場である。中国の人に恩返し。それは親父の兄の思いであろう。
あんずが
「デズニ―ランドに連れて行って」と言った。
べにかはと尋ねると
「彼と行ったから」と言った。
あんずだけを贔屓には出来ないが、連れて行ってやりたい気持ちもある。
「2人が一緒なら行こう」
結局その話は成立しないで終わった。
丸山はあんずに彼の事を聴きだした。地元の大学生であった。
丸山は心配になった。
その頃からあんずは携帯を離さないようになった。
そして丸山に泣きついて来た。メールが届かないと・・・
幸いに妊娠はしていないようであった。
「日本人嘘つく」
丸山は自分が言われているように感じた。