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覇王伝__蒼剣の舞い3

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 四方二十八星____、東西南北にいる剣士か、または物を指す。
 人としている場合、彼らは名の一字を持つ珠を持ち、剣士としては四獣聖の次が互角。早い話、敵として現れたら厄介な相手となる。
 元々、四獣聖に従うべく前覇王の元に集められたが、四国分国と覇王の死により、彼らは七星士と独立し、主と云う主は持たない。
 二十八もあれば考えも違えば、お互い敵味方にもなる。
 北方七星士・室宿は、北領の所属だが黒王を主とはしていない。黒王は見方に引き入れようとしてきたが彼らははね除け、お陰で北領にはいられなくなった。
 流れ着いたのが、蒼国である。尚武と知り合い、意気投合したがこれまで七星士だとは隠してきた。
 せっかく煩い黒抄から逃れたと云うのに、ここに来てまで巻き込まれたくはなかった。しかも、黒抄が蒼国内でうろうろされては蒼国も彼らにとっては決して安全とは云えなかった。
 何故黒抄が、蒼国に現れるのか。その理由が、室宿には漸く理解った。
 「七星士(うち)でも、有名だよ。蒼剣が、覇王に東領の主を選んだって。しかも、覇王の四番目の息子だときてる。黒王が怒って、ここまで刺客を送ってくるわけだ。確かに、俺の力を一発で止めた腕はさすがだよ。蒼龍の清雅さま」
 「あれが街ン中じゃなきゃ止めてねぇよ」
 「一人で七人相手にしてたって?認めるよ。口だけじゃないのは。で、用って?もう大抵の事は尚武から聞いてんだろ」
 「ドラゴン七星だ」
 「それが何か?」
 「どこにある?」
 「さぁ、噂じゃ四国の何処かに散ったそうだけど。探すのは一苦労だよ。得に西はね」
 西と聞いて、清雅は表情を硬くした。
 西には聖連をはじめ、白い影や日影、白将軍・須黒率いる精鋭国軍がいる。そして、西方七星士が敵か味方か理解らない。
 「やっぱり最大の敵は、白碧か」
 嫌そうな顔をしながらも、軽く笑う清雅を室宿はじっと見ていた。
 清雅たちが帰ってすぐ、室宿の背後に数人の人影が立つ。
 「室宿にしちゃぁ、よく口が回る」
 「で、どうだ?あの男」
 「あんたの判断に従うよ、リーダー」
 室宿は、そう云って振り返った。
 「もう少し見届けよう。吾ら北方七星士が賭けるに値するかどうかを」
 彼らの中で長身の男は、そういって窓越しに清雅の背中を見つめた。