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覇王伝__蒼剣の舞い3

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 黒抄王城では、黒王・黒狼の機嫌は相当悪い。
 蒼国攻めを前にして、臥龍山で軍は混乱し戦わずして逃げ帰ったのだ。しかも、わさわざ自ら出向いたその前で。
 「____お加減如何ですか?」
 ふっと玉座の前に現れる人物に、黒王の目が吊り上がる。
 白い頭巾を深く被り、口は面白そうに歪んでいる。
 「よくも…吾の前に現れたな!聖連」
 「ふふ、お元気そうで何より」
 「黙れっ。お前の企みは理解っている。よくも吾を騙してくれたな」
 「心外ですね、義兄上。吾がいつ貴方を騙しましたか?吾は唯、協力しただけ。義兄上に清雅の首を取らせてあげようと。その失敗を吾になすりつけようなど、困ったお方だ」
 「聖連っ!!貴様ぁっ…!!」
 手にしていたグラスを投げつけるが、聖連はフワリと交わす。
 「変わってませんね。昔からプライドだけは大きかった。激し易く、前が見えなくなる。父上が、覇王家の実権を義兄上にと遺言されなかったわけですね」
 「おのれ…っ」
 嘲笑する聖連に、黒王は歯ぎしりするしかなかった。
 今の黒抄に、白碧を攻める力は未だ回復もしていなかった。
 「ドラゴンの遺産は、吾が頂きますよ。黒抄が弱っている間にね。白碧が攻め入らないだけ、感謝して欲しいですね。義弟としてのせめての思いやりなんですよ、黒狼義兄上」
 「覇王の座、渡しはせぬ!白碧も吾がものとしてくるわ!!」
 「お好きなように」
 やれるものならやってみろと云わんばかりに、聖連は金色の眸を細めふっと消えた。
 「闇己、義勝、何としてもドラゴンの遺産を探し出せ。蒼剣ともども手に入れるのだ。白碧も蒼国も紅華も、攻め取るよい材料になる」
 「仰せのままに、黒王陛下」
 二人の将軍は、揃って膝を折り頭を下げた。