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覇王伝__蒼剣の舞い3

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 「さぁな。よくしゃべる奴と、難しそうな顔をした男の二人連れさ。俺のことを探りに来たようだぜ。刺客とは違うな。俺が誰か知らなかったからな。しかし、焔に似てたな。あの脳天気野郎が、未だいたとはな」
 清雅はクククと笑って、最後の一口を呑みきり、チェリ−を口に放った。
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 蒼国王城で、派手なくしゃみが聞こえる。
 「風邪か?焔」
 「うーん…、これは誰かが僕の噂をしてるんですよ。狼靖さま」
 「誰が?」
 「さしずめ、タクちゃん」
 「僕が何か?」
 扉が開いて、そこに拓海と星宿が立っていた。
 「タクちゃん、僕の噂してただろう」
 「してませんよ。清雅さまの噂ならしてましたけど。ねぇ、星宿さま」
 「あぁ、そうだな」
 「狼靖さま、貴方の息子、この一月半でこんなに可愛げなくなっちゃいましたよ。打たれ強いというか、小憎らしいというか」
 狼靖は、微笑むしかない。
 確かに、拓海は変わった。明るくなり、玄武としても成長をしている。
 これから待ち受ける試練に、今の彼(たくみ)なら耐え、乗り越えられるだろう。狼靖は、そう思うのだった。
 「で、そのセイちゃんは?」
 「王都だ。情報通に会いにな」
 「ああ、尚武ね」
 すっかり便利屋だの、いろいろ呼ばれている尚武である。
 覇王時代は東領一の名門貴族の子息が、今は四獣聖を裏から支え奔走している。もちろん、そうなるなど尚武自身思ってもいなった事だろう。
 その尚武は、清雅をある場所に案内した。
 「ここですよ。その人の家」
 「おや、珍しいね。尚武、何年ぶり?」
 背後から掛かった声に、二人同時に振り向く。
 「七年は経っていますよ。室宿(はつい)さま」
 「で、七年ぶりに何の用?喧嘩売ろうなんて尚武がするとは思いたくないけど」
 室宿と呼ばれた男は、ちらっと尚武の隣の男を見た。
 「そうじゃありませんよ。四方二十八星(しほうにじゅうはっせい)の事を聞きに。室宿さまが、その一人だと思い出しまして来ました。未だ蒼国内にいらしてよかったです」
 「声大きいよ。黒抄がいたら知らないよ」
 「お前___黒抄の人間か?」
 睨む男に、室宿は動じることなく口元を緩めた。