小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

覇王伝__蒼剣の舞い3

INDEX|4ページ/31ページ|

次のページ前のページ
 

 清雅が、大人しく蒼国で敵を待っている性格ではないと。
 両者がここでぶつかり、共倒れになってくれれば幸い。その隙に遺産を奪う、その筈だった。ところが亡霊出現に黒抄はパニック状態となり、国に撤退してしまった。
 ここにいるのは、須黒とその配下数名。
 「そりゃぁ、亡霊に感謝しないとな」
 「相変わらず、口は悪いな」
 お互い抜剣して、睨み合った。
 星宿たちも習い、剣を構え臨戦態勢に入る。
        ************************************
 時は、七年前に遡る。
 覇王家崩壊後、四国は四つに分国され、四獣聖も四散していた。
 ただ、一つの位を除いて。
 「星宿さま」
 西領の白都、白虎となっていた星宿にその男は近づいた。
 「須黒どの、如何された?」
 「お父上の後を継がれ、白虎となられた由お喜び申し上げます」
 「聞いたよ。貴殿が蒼龍を目指していると」
 「吾のような貴族出身でもない者が蒼龍とは恐れ多い事なのですが」
 「吾は歓迎するよ。覇王陛下は、身分に関係なく受け入れる方だったからな。それに貴殿に叶う剣の腕は誰もいない」
 「これからどちらへ?」
 「東領だ。玄武さまと朱雀も向かっている。東領は、覇王陛下のお生まれになった地であるからな。未だ王も決まっていないと云う。龍王剣はそこにあるようだ」
 「吾もお供していいでしょうか?」
 須黒は、星宿と共に未だ蒼国となる前の東領へ向かった。
 四獣聖・蒼龍の証である龍王剣は、この時所在が不明だった。前覇王が蒼剣と共に所持し、その後消えて以来、四獣聖・蒼龍の位だけは空位だった。
 何としても探し出す。
 この時、須黒はそう決意していた。その男に会うまでは。
 「____龍王剣…」
 七年後、須黒の前に突きつけられる龍王剣。
 四獣聖・蒼龍として、蒼国の王としてその男は須黒と剣を交える。
 「清雅さまっ」」
 「星宿、雑魚は任せたぜ」
 「お任せを」
 星宿は、にっこりと笑った。
 七年前、東領で出会った少年。星宿は須黒以上に驚いた。
 自由戦士として各地を転戦している彼は、星宿より二つ年下の18歳。その彼が、更に8年前に会っている玄武の狼靖の甥・清雅だと気付くにはあまりにも印象が変わっていた。更にその腰には、行方が理解らなかった龍王剣。