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覇王伝__蒼剣の舞い3

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                    3
 “蒼の谷”思い当たった場所は、そこだった。白碧・白い影と一番最初に戦ったあの国境である。何故ここなのか、それは蒼剣が清雅の元で二度目に輝いた場所だからだ。
 「あの時ドラゴン七星に、蒼剣は反応したんだ」
 「でも星宿さま、ここに蒼剣はありませんよ。まさか、また玄武の力使えなんて云いませんよね?」
 「それはねぇよ」
 答えたのは、清雅だった。
 腰の龍王剣が、またカタカタと振動している。
 「清雅さま」
 「間違いねぇ。七星のどれかが、この先にあるぜ」
 「でも、セイちゃん。何か嫌な予感するんだけど」
 「白碧との国境だからな。奴らも遺産を探してうろうろしてるだろうよ」
 脅しではない。白碧も、遺産を探しているのだ。
 蒼剣とドラゴン七星を手に入れ、ドラゴンを目覚めさせる。覇王となる為に。
 「ドラゴンの遺産は、恐らくものではない」
 「星宿さま?」
 「白碧の白王さまは、高い異能をお持ちだ。蒼剣に選ばれずとも、他の方法で蒼剣を目覚めさせる手を考えたんだ」
 「じゃ遺産って…」
 「蒼剣の秘められた力だ」
 清雅に次ぐ勘の良い男は、そう推測する。
 白碧の白王・聖連___清雅の二番目の異母兄にして、清雅が黒王・黒狼より恐れる相手。
 「七星の力に蒼剣は引っ張られる。蒼剣は躯を求めて長く彷徨っていたからな」
 「待ってください。清雅さまは、どうなるんです?ドラゴンは人として転生を繰り返したといいませんでした?蒼剣は、やっと見つけたと」
 「未だ、何か企んでやがるな」
 清雅は、嫌そうな顔で髪を掻き上げた。
 その谷に、この男も来ていた。
 ___ふふ…、見つけたぞ。尾宿。
 金髪とマントを靡かせ、心宿は見下ろしていた。
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 ドラゴン七星、心宿。
 七星一の力をもち、龍王とも云われた。四方二十七星は、覇王の転生と同じくそれに応じて転生する。覇王と四方守護の為に。
 だが、必ずしもそうとは限らない。
 少なくとも、心宿の中にあるのは黒く邪気に包まれた魂。
 「さぁ、お前たちの腕見せて貰おうか?西方七星士・奎宿、婁宿」
 心宿に命じられ、二つの影が左右に飛ぶ。