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覇王伝__蒼剣の舞い3

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 「狼靖、俺は嫌な想像してしまったぜ」
 清雅は、そういいながら少し青い顔をしていた。
 その想像が、外れてくれるのを祈りながら。
       *****************************************
 ___違ウ…。コレハ…。
 「…まれ…」
 ___オ前ハ…何ダ?
 「黙れと云っている!!」
 肩で荒い息をしながら、男は壁を睨む。
 金髪が顔を隠し、除いた碧色の眸には憎悪が宿る。
 ___違ウ、違ウ、コレハ。
 蒼い光が、冷たい壁を破壊する。
 「…蒼王…、お前は必ずこの心宿が仕留める…!」
 __ヤメロ。
 声は、徐々に消えていく。
 「心宿さま、ドラゴン七星・尾宿(あしたれ)の場所御理解に?」
 「蒼国内を移動しているようだ。変化したか?」
 髪を払い、心宿はニヤリと笑う。
 「まぁ、それでもよいが。殺して取り出せばいいだけの事。ククク」
 「あの者たちにやらせるので?」
 「気に入らぬか?」
 「いえ…」
 薄闇の中で、白い衣の男が口を引き結ぶ。
 「忘れるな。今のお前たちの主は、この心宿だという事を。簡単な事だぞ。お前たちの息の根を、吾は手を触れずに握り潰せる。白い影よ」
 心宿は、マントを翻し室を出て行った。

 「アッシー、もう休もうぜ」
 「その名で呼ぶなと云わなかったか?」
 鋭く睨まれて、青年はたじろいだ。
 「いいじゃん♪親近感沸くしィ」
 「勝手にしろ」
 アッシーと呼ばれたもう一人の青年は、フンと鼻を鳴らして周囲を見渡した。
 「_____燐?」
 目の前を通り過ぎる少女に、その目が見開く。
 「…尾宿(あしたれ)さま?」
 「やはり、燐か?」
 「ご無沙汰をしておりまます」
 「ちょっと、この娘(こ)が仲間?」
 「いや、彼女はごく普通の人間だ」
 「もしかして、彼女とか〜」
 「いや、燐が好きなのは別の男だ」
 燐と呼ばれた少女は、頬を赤らめて下を向いた。
 「俺、北方七星士の牛宿(いなみ)」
 「どうして、北の方と?」
 「偶然知り合ったのさ。仲間を捜してるうちにな。燐、やつも目覚めた筈だ。俺たち四方二十八星が覚醒し始めたって事は、やつも覚醒している。ドラゴンの転生が成されているなら間違いなく」
 燐は、コクリと頷いた。