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覇王伝__蒼剣の舞い3

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 地上を制する為に、天から下った天龍。人と転生し、覇王となり、平和なる世を築き、再び転生する。三百年間繰り返し。
 だが、それはある日途絶えてしまう。
 やっと見つけた前覇王は、確かに四国を平和へ導いたが、蒼剣と一体にはなれぬまま世を去ってしまった。次に転生していた筈の清雅を、蒼剣は見つけられぬままその後七年、四国は荒れた。もしそのまま、覇王家に置かれていれば巡り会うことはなかっただろう。
 凌姫が狼靖に渡し、狼靖が清雅と再会していなければ、蒼剣は彷徨い続けていただろう。この偶然が、なければ。
 もし、この事とを前覇王が知っていたらどうだろう。
 「考えられます」
 「狼靖さま」
 「前覇王陛下は、ドラゴンの転生が成された事を気付いていたでしょう。故に、次期覇王は誰か云われぬまま亡くなられた。その人物に蒼剣を引き継ぐつもりだったとすれば、確かにあの三人ではありません。ただ、その人物が誰かは理解らなかった」
 「父上、前覇王さまも本当はドラゴンの転生だったんじゃ…」
 「覇王陛下は、そうは思っていなかった。蒼剣を目覚めされられなかった。だが、だからと云って悔いる方ではなかった。だからなのだ、拓海。覇王陛下は、御自身の意思を蒼剣と共に引き継ぐドラゴンの転生を守ろうと、何も云われなかったのだと」
 狼靖の視線は、そのまま清雅に注がれた。
 「狼靖、あんたは覇王が俺だと気付いていたって云いたいのか?一度も会った事もねぇんだぜ」
 「いえ、一度あります。清雅さまが生まれてまもなく、覇王陛下は牙の村に行かれたのです。その時、蒼剣が微かに光りました。当時の吾はそれが何なのか知る事ができませんでしたが」
 故に、覇王は龍王剣を清雅の母・桜に渡したのだと狼靖は云う。
 この子を護ってくれるだろうと。
 覇王家崩壊は、この時予期していただろう。二人の息子が蒼剣を巡って対立する事も。
 「俺が、違う道へ行くとは考えなかったのか?」
 「あの方の勘は、外れた事は一度もありませんでした」
 清雅も同じだ。勘の良さまで、父親譲りである。
 「星宿さま、覇王家にドラゴン七星があったとは思えませんが」
 「読みが外れたか」
 星宿は、苦笑いしながら銀髪を掻き上げた。
 「蒼剣が目覚められなかったのは、七星がなかったからだと思います」