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覇王伝__蒼剣の舞い3

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 長い髪を茜色の空に靡かせて、清雅はいつもの顔で城の中に戻っていく。
 大丈夫だ。
 星宿は、己にそう言い聞かせ不安を払い、清雅の後ろを追った。
         ***********************************
 暗い回廊。
 その中を、男が進む。
 肩に掛かる金髪、碧色の眸、その眸と同じ色の鎧に濃紺のマントを合わせ、彼は止まった。その先に、彼が主とする男がいた。
 「よくやった」
 「お褒め頂きありがとうございます」
 「まさか、本当にやるとはね。心宿」
 クスクス笑いながら、その手には白銀の剣がある。
 「ならば、蒼王の首持って参りましょうか」
 「そうだね。お前の手でというのも悪くない。ドラゴン七星に殺される、ふふ、なかなか面白い事を云う。だが、それでは駄目だ。蒼剣の残りのドラゴン七星を手に入れないとな。みなが、お前のようとは限らぬ」
 「手に入れてみせましょう、聖連さま」
 「期待しいるよ」
 白王・聖連は手元の剣を半分鞘から抜いて、笑んだ。
 
 天狼星が奪われた___。それは、一瞬の出来事だと云う。
 「まさか、ドラゴン七星の心宿だとはな」
 「清雅さま、いったい…」
 「心宿は、白碧についているって事さ。まったく、聖連より、厄介だっていうのに」
 「南領には、他に七星は?」
 「蒼剣が反応しなかった。あるとすれば、この蒼国内か、黒抄、白碧だ」
 「蒼国に、ある事をいのるよ」
 広げられた地図に、怪しい場所はない。
 「それなら___」
 その声は、背後から掛かった。
 その額に『箕』の一字。
 「また、襲おうってなんじゃない?」
 「焼き鳥にされたいか?」
 「そっちこそ、丸焼きにしてやるよ。真っ黒焦げに」
 「焔さま、どっちも美味しそうではありません…」
 朱雀と龍、確かに食べるには。
 「拓海、お前まで乗ってどうする?」
 狼靖に窘められ、拓海は「えへ」と舌を出す。
 「箕宿、心当たりがあるのか?」
 「七星は、お互いの距離が近いと引き合います」
 箕宿は、清雅に対しては口調を改めた。
 ドラゴンの心を持つ清雅と、躯の一部である七星。更には、四方守護・蒼龍とその使役という主従の関係にある。
 「でも、何故七つの珠はバラバラに?」
 尤もな拓海の問いに、清雅も気になるところだ。
 「恐らく、蒼剣だ」
 「またぁ?」