覇王伝__蒼剣の舞い3
ドラゴン七星の珠、ドラゴンの遺産の秘密を解く七つ。
「珠じゃない…?」
唖然とする、四獣聖の前で二人の男は面白そうに口元を歪める。
「珠ならあるぞ。だが渡せんな。この箕宿を従わせられるかな?」
「上等だぜ」
空中で、蒼い龍と赤い龍が激突した。
「ぐっ…」
「俺に炎は通じないぜ」
「水の力か」
龍神は水を統べる。
龍王剣に纏う蒼い光が、水の束となり火の龍を包んだ。
「終わりか?」
「たかが人に、この箕宿が負けるわけがない」
箕宿が、再び火柱を上げる。
『吾、呼ばん』
龍王剣が、清雅にそう告げる。
「…っ」
「清雅さま!」
『吾、呼ばん』
ドクン!
心臓が大きく跳ね上がる。
『吾___、蒼とならん』
「清雅さま!」
「拓海、来るんじゃねぇ!!」
苦悶し膝をつく清雅に、拓海は駆け寄る間もなく、清雅の躯は蒼く光った。
その手には、蒼剣。
だが、その眸は金色だ。
「吾、汝の主なり」
清雅の声ではない何者かの声。
箕宿は、弾き飛ばされその姿は蒼白い珠に変わる。
「これが…あいつの本体?」
「清雅さま!」
「…また、人の躯使いやがって」
そこに蒼剣はなく、清雅の眸も声も戻っていた。
いったい、清雅の躯を支配したのは何者なのか。
蒼国では、狼靖たちが清雅たちの留守を守っていた。
「異状はないか?」
「はい、狼靖さま」
だが、狼靖の顔は不安に満ちている。
腰に手を当てれば、玄武の剣・亀甲文殊が振動しているのが理解る。
___何だ?
____ドンっ!
「どうした!?」
扉を開けた先で、一人の男が天狼星を手にして立っていた。
「玄武か…」
肩に掛かる金髪を靡かせ、男がニヤリと笑う。
「お前は…」
「心宿」
「なに…」
「天狼星は頂いていくぞ」
心宿の姿は、突き破った天井へ飛躍し龍体となった。
「狼靖さま…!」
狼靖は、初めて脅威に躯が震えた。ドラゴン七星が敵として現れた事に。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い3 作家名:斑鳩青藍