覇王伝__蒼剣の舞い3
「これの何処が!?第一、白虎さまと同じ名前など偉そうに」
南方七星士・第4宿、星宿は焔の肩の上を陣取っている。
元々南方七星士は、朱雀の下に属す集団ゆえ、焔に懐くのは不思議な事ではない。
「翼宿〜、腹減ったぁ」
「さっき食ったろう。俺の分まで」
「鬼宿、お前は堪え性がない」
「軫宿も翼宿も冷たいんだな」
「井宿どの、火の山はここから遠いのですか?」
南方七星士リーダー井宿に、星宿が問う。
「火の龍が、七星珠を持っていると?」
「それは未だ」
そう、確証はない。
ただ、火の龍が棲むという伝説を彼らから聞いて、行くと決断したのだ。
「ミボシイル。火ノ山ノ近クニ」
もう一人、いや一羽の『星宿』が告げる。
その火の山は、この日も噴煙を上げている。
「___誰だ?」
男の背後に、二つの人影が立つ。
「噂の火の龍ってお前か?人間じゃん」
「だったら?」
「持ってんだろ?ドラゴン七星・箕宿の珠」
二人同時に飛躍して、火の龍に炎を放った。
「ふん、火を使う相手に火とはな。南方七星士か」
「第3宿、柳宿(ぬりこ)」
「第5宿、張宿(ちりこ)」
炎は勢いよく、火の龍を包んだ。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い3 作家名:斑鳩青藍