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覇王伝__蒼剣の舞い3

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 紅華国・王都。
 四国第三の規模をもち、四国紅一点、女帝の国。
 「陛下ぁっ」
 「何よ、そんなに大きな声で言わなくても聞こえてるわ」
 うんざりとした顔で、紅王・凌姫は燃えるような赤い髪を掻き上げる。
 「この数週間の内に、議題が山積しております。戦は将軍たちにお任せを」
 「人の領地を土足で踏み入ろうという連中に、黙っていられると思うの?」
 「だからといって、陛下御自ら出陣されずとも」
 「___紅王陛下」
 「今度は何なの?」
 「それが、蒼国の蒼王さまと云う方が」
 「…?」
 衛士のはっきりしない物言いの理由を、凌姫はそれを見て理解した。
 身なりは、そこら辺にいる自由戦士と大差なく、確かに王だと名乗っても理解されにくいだろう。しかも、この城に来るのはこれが初めて。
 「あんたに、そんな顔されるなんて思わなかったな」
 「…当然でしょ。貴方が私を訪ねてくるなんて初めてだわ。清雅」
 「聞きたいことがあってな」
 「聞きたいこと?益々、珍しいわ」
 清雅は嫌そうな顔をするものの、中央の卓に地図を広げた。
 「火の山に行きたい」
 「…あまり、行く事は勧められないわね。ここは、紅華(うち)でも手はつけられないわ。火の龍がいるって一時期、噂になったわ。何人か退治てやろうなんて馬鹿な男が向かって、未だ帰らず」
 「これから行こうって俺たちも、その馬鹿な男たちになるって?それでやめるって性格じゃないのを、あんたは知ってるだろうが」
 「行くなとは云ってないじゃない。でも、辿り着くまでが大変よ。ここを手につけられない理由はもう一つ、南方七星士の本拠地なの」
 「それなら、うち二人と一羽、俺たちといるが」
 凌姫の目が、驚きのあまり見開かれる。
 紅華国建国時、火の山の麓一帯を守る南方七星士に紅華軍は敗退を強いられ、以後は黒抄も攻め入ろうとして敗退、何処の国にも一度も靡かなかった南方七星士がである。
 「…一羽が理解らないわ…」
 「鳥さ」
      *****************************************
 「グァ!」
 馬の蹄の音に『星宿』の鳴き声が重なる。
 「すっかり懐いちゃいましたね。焔さま」
 「そのうち、焼き鳥にして食ってやる」
 「焔、七星だぞ」