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覇王伝__蒼剣の舞い3

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 「そいつは、ここにあったもんだ」
 十数年前、前覇王が持ち出しその後、央軌に密かに託した剣・天狼靖。
 「七つの星の一つでは?」
 「いや、天狼星と云う名前はない」
 星宿は、そう否定した。
          ***************************************
 蒼龍の七つの星とは、角宿(すぼし)、亢宿(あみぼし)、氏宿(ともぼし)、房宿(そいぼし)、心宿(なかご)、尾宿(あしたれぼし)、箕宿(みぼし)の七つである。
 「それじゃ、この剣は…」
 「タクちゃん、抜いてみて」
 「僕が?」
 「その剣預けられたの、タクちゃんでしょ」
 焔に急かされて、拓海は恐る恐る剣を鞘から抜いた。
 『眠れたるもの貫かん』
 刀身に刻まれる文字。
 「これって…」
 「まさか、蒼剣と同じ意味とはな」
 清雅に、自嘲気味の笑みが浮かぶ。
 蒼剣は、はっきりと、
 『____心臓を射抜かん』と語っているのだ。
 「清雅さま、これからどうしますか?」
 「そろそろ、黒抄も来るしなぁ」
 ここで、謎を究明している余裕はなかった。黒抄国と蒼国の開戦は始まろうとしているのだ。
 「清雅さま、ここには天狼星以外にあるものがありました」
 そう云って、臥龍山の遺跡管理人ロウは背後に立った。
 「央軌は、そんな事はいってなかったぜ」
「あそこをご覧を。龍の胸の辺り」
 壁画の龍の胸は、変に凹んでいた。何かの痕跡である。
 「ここに何があったんだ?」
 「心宿と呼ばれる、この遺跡のもう一つの至宝です。伝説に寄れば、ドラゴン七星揃うとき、扉は開かれると。」
 「ドラゴン七星、か。遺産の隠し場所への扉ときたか」
 だが、その心宿がその後どうなったか誰も知らない。
 そうなるとどうしても、一人の男の影を疑わずにはいられない。遺産探しに一番に乗り出し、天狼星を狙った白王・聖連を。
 「____やはり、な」
外に出た彼らを、一人の男が待ち構えていた。
 白銀の甲冑に身を纏い、唇をニヤリと歪ませて。
 白碧精鋭軍・白将軍、須黒だった。