小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

覇王伝__蒼剣の舞い3

INDEX|18ページ/31ページ|

次のページ前のページ
 

 「何か、知らせてきたか?」
 「南領に、蒼王が向かったそうだ」
 「いよいよ動き出したか。で?」
 「未だ動くなとさ。いい機会だと思うぜ?」
 「心宿(なかご)には、考えがあるんだろうよ」
 「考えねぇ。何考えてんだか。第一あいつは___」
 「吾が何だと?」
 「心宿!」
 二人の後ろに立つ男は、明らかに彼らと異なる出で立ちをしていた。
 鱗のような碧色の鎧にマントを羽織り、肩に向かって流れる金髪、彼ら西の人間とは違っていた。
 「奎宿、婁宿、勝手な真似はするな」
 「てめぇ…」
 「よせ、婁宿」
 「何でこいつの云う事聞かなきゃいけないんだよ!俺は信用できねぇな。こいつは“裏切り者”だろうが」
 婁宿は飛躍すると、剣を振り下ろした。
 だが、心宿は動じることはなく、片手を左から右へ払った。
 「婁宿っ!」
 「ぐっ…」
 蒼い光の玉に包まれた瞬間、心臓を鷲掴みされるような激痛。
 「もう一度云ってみるがいい。心臓を潰されたければな」
 「心宿、もうやめろ。お前と戦うつもりはない」
 「ふん」
 心宿は凍てつくような眸で見据え、マントを翻し去っていった。
 「…死ぬかと…思った…」
 「だからよせと云ったのだ。あの男だけは、敵にしない方がいい。白王さまも、敢えて手は出してはいない」
 「ドラゴン七星だからか?」
 「俺たちは、残り五個を奴らより探すことだ。蒼王との戦いは、恐らくこの西領・白碧だ」
 奎宿の言葉に、婁宿は大人しく従った。
 心宿を信用できないと思っているのは、白将軍・須黒もそうだった。
 突然、白王・聖連の側に控えるようになった西以外の人間。
 ____白王陛下は、白い影といい、何故いかがわしい者を側におかれるのだ。
 しかも、
 「今、何と?白王陛下」
 「日影が、死んだ」
 「日影どのが…?」
 「吾の為にね」
 妖しく笑む聖連の傍らに、その男はいた。日影亡き後に、新しく側近となった心宿が。
 須黒が、聖連の意味を理解するのは未だ先の事になる。