覇王伝__蒼剣の舞い3
静かである。聞こえるのは、草原を撫でる風の音。
四獣聖二本の剣が共鳴し、主の精神が注がれていく。
拓海は、地に手を突き目を閉じた。
「龍王の名に於いて汝を呼ばん」
清雅が初めて口にする、召還の言葉。
龍王剣が地に刺さり、蒼い光を纏う。
狼靖が、亀甲文殊を更に突き立て、大地がズンっと振動し始める。
「拓海、後はお前だけだ」
「はい、父上」
闇の中、玄武によって開かれた地の道を蒼い光が龍体をなして突き進む。
蒼白く光る一点を目指して。
____ドン!
「うわぁ…」
「タクちゃん!上っ」
上?
拓海は天を仰いだ。そこには、大きな龍が巨体をくねらせて睨んでいた。
「吾ヲ呼ンダノハ、オ前カ…?」
「これは…」
「吾ハ未ダ…非ズ」
龍は、光となって下へ降り、人をなす。
「…清雅さま!?」
「…人の躯…、勝手に使いやがって…!」
肩で息をしながらその手には、ドラゴン七星の一つ、角宿の珠があった。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い3 作家名:斑鳩青藍