ヤマト航海日誌
2016.8.23 古い話で恐縮ですが
どうも皆さんお久しぶり。『ヤマト』とてんで関係のないこの日誌がまた帰ってまいりました。
『ヤマト』の小説の方もまあ、投稿再開するんだけど、例によって話はなかなか進まない。古代がドビュンと飛び出して敵をダダーンババーンとやっつける展開を期待してる人には悪いんだけど、おれはそんなの書く気ないしね。しかしあんまり進まないのもどうかと考えんものでもない。
それでまあ、代わりと言っちゃなんですが、おれが昔に書いた小説をついでに公開することにしました。『ヤマト』となんの関係もないが、今回はその話をすることにしよう。
『アパチュア・アンド・シャッタースピード』。このシロモノをここに出すのは正直どうしたものかと思った。ずいぶん前に書いたもので、内容がもう古いんだよね。1999年に書いたおれの最初の小説なんだが、〈古い〉というのはこれがなんと銀塩フィルムで写真を撮るカメラマンの話なんだ。一体、今にどこのどいつがフィルムなんかで写真を撮るんだ。
しかしおれがこれ書いたとき、写真と言えばふつうはフィルムで撮るもんだった。その後急速に〈デジカメ〉が発達、このお話は三年で時代遅れになってしまった。で、発表のしようもなく今日まで棚に置いといたのだ。
が、もともと、これは書いたはいいけれどこんなのどこに持ってきゃいいねんと自分で思うシロモノで、最初からおれは始末に困っていた。こういうものを募集している新人賞がそもそもない。
この日誌に前にも書いたが、しょうがなく、講談社の〈メフィスト賞〉というやつに応募要項なんか見もせず送ってみた。感熱紙の原稿に梗概も付けず、規定枚数の下限に達してもいないシロモノだったのになぜか読まれて好意的に評してくれもしたのだが、『これはノベルズで人気が出る人じゃないだろう』なんてことも一緒に書かれた。
そうだろうなあ、おれも別に〈メフィスト賞〉で作家デビューがしたいわけでもねえもんな。ノベルズは絶対違うとおれ自身も思ったけれど、しかしだからと言ったって、ハードカバーや文庫オリジナルというのもちょっとやっぱり違う気がする。じゃあどうすりゃいいんだろう……なんて考え、こいつのことはほったらかしてきたのである。
だがまあ、とにかくこいつはおれのいわゆる処女作なのだ。『処女作にはその作家のすべてがある』なんてことをよくいうが、いま読んでみて、こいつには、いま書いているおれの『ヤマト』につながるものが全部〈芽〉としてあるような気もするんだな。だからまあ、今ここに書いてることも、『ヤマト』に関係ないようでいて関係なくないわけだ。
そんなわけで『アパチュア・アンド・シャッタースピード』全五作中、第一話『太平洋の翼』を全十回に分割してここにお見せする。フィルムのカメラで写真を撮る古いお話だけれども、それでもよければ読んでください。
(付記:いま読む方は一体全体なんの話かと思われたろうが、それについては次のログで)