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ヤマト航海日誌

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2015.6.28 ラバウルの古代進



この日誌を更新するのも久しぶりだね。さてお気づきのことと思うが、いま書いている〈エイス・G・ゲーム〉のパートを終えたらまたしばらく休むつもりだ。何しろぜんぜん読まれていないことだしね。

で、もうひとつ、これは誰も気づいていないだろうけど、話を先週更新したとき、『ココダ山道』と『筋トレマシン』の間に一節、『〈イスカンダル〉になる男』というのを後から挿入している。悪いけどちょっと戻って読んどいてください。

おれの小説が途中から、冥王星を〈スタンレー〉と呼び出してるのも誰も気づいてないだろう。〈スタンレー〉とは言うまでもなく松本零士の『ザ・コクピット』シリーズの一篇、『スタンレーの魔女』に出てくるあのスタンレーだ。

一体どうして冥王星が〈スタンレー〉なのか……というのも別に知りたくないだろうね。面倒なんでおれもあんまり書きたくない。説明すると何しろ長くなるんでね。

が、まあ、ちょっとだけしておこうか。太平洋戦争について多少は知る人ならば(ホラ、長くなりそうでしょ?)ガダルカナルの大勝利で日本が米英の進撃を阻み、その後のアッツ島に始まる玉砕に次ぐ玉砕で勝って勝って勝ちまくってもう少しで敵を降伏させるところまで来たものの、原爆投下で惜しくも敗戦となった歴史はご存知だろう(え? 今までテレビやマンガで見た話と違うって? でも当時の新聞にはそう書いてあったんだよ)。

けれどもそれが、ニューブリテン島ラバウル基地の〈戦闘班長〉とでも呼ぶべき存在、辻政信という名の男ひとりにすべての原因があるのを知る人間はとても少ない(おれも知らなかった)。歴史の本には日本軍の最初の玉砕はアッツ島だと書かれているが、事実上の最初の玉砕戦が行われたのがニューギニア島スタンレー山脈のココダ山道だということも、その山道を行くことがどれだけ無謀だったかも……。

で、そのすべてが古代進、じゃねえ、そのナントカのせいだったのだ。中佐だけど何しろ勉強ができたんで、上である大佐や少将に『死ね』と命じることができる。逆にこいつに命令できる者がいるとしたら天皇だけ……つまり、『ヤマト2199』で岬百合亜がトイレの神様で、古代が若旦那、対して沖田がただの番頭というのとまるで同じだね。

こいつのおかげで〈勝った〉ので、原爆くらいで降参しなけりゃ日本は今頃世界を征服しているはずと右翼の『正しい教科書』に書いてあるとかいないとか。とりあえず君が旦那でも番頭さんでもかまわないから、『〈イスカンダル〉になる男』の節を読んどいてくんなまし。

それにしても『スタンレーの魔女』だけど、あのマンガって読み直してみるとなんだか変じゃねえか? なんでわざわざ山脈でいちばん高い山の上を飛び越えなけりゃいかんのだろう。ちょっとよければいいことじゃん……地理的にもジャヤ山ってニューギニアでもかなり西の方にあって、スタンレーとは別の山脈なんだよな……。

そうは言ってもあの話、おれは好きなのは好きなんだけどさ。世の中には気づかぬ方が幸せなことがあるものよ。君も地図など見ない方がいいかもしれんね。その方が、出渕裕みたいに地球は平らなもんと思っていることができる。


(付記:おれが作中で冥王星を最初に〈スタンレー〉と書いたのは『敵の備え』のページから。それに合わせて前の方を直している)



作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之