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ヤマト航海日誌

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2015.5.4 その名は加藤二十六郎



現役偶然一浪当然二浪平然三浪茫然四浪愕然五浪蒼然六浪慄然……なんて文句が、昔どっかの予備校の壁に落書きされていたとかいないとか。うろ覚えだが、だいたいこんな感じだよな。乗組員がどれだけ死のうが平然としてるわれらが『ヤマト』の古代進。なかでもかわいそうなのが〈ブラックタイガー〉隊の隊長、加藤三郎君ではないか。ことごとく古代に部下を殺されたうえに、『さらば』の中でとうとう自分も死んでしまった。ナンマイダー。

だがあの映画ではみな死んだ。古代と雪はもちろんのこと、真田も徳川も佐渡先生も死んだのだ。島に相原に南部に太田と、なんかどうでもいいようなキャラばっかり生き延びて、魅力のあるやつらは死んだ。

生き残った十八人、最後に〈ヤマト〉を見送る顔は、まるで今年も入試に落ちた浪人生のようである。ああ茫然のサクラ散る。だが負けないぞ来年こそは……。

西崎義展という男の目には、そんな人間が好ましく見えるのだろうか。かもなあ。オウムの麻原だって、地味ー変ドリックスな若者集めて教団大きくしたんだもんな。『永遠(とわ)に』がスベリ『3』がスベリ『完結編』がスベっても『ヤマト』で合格目指し続けたその心意気、受験生の鑑である。

そもそも『2』で古代や佐渡先生を生き延びさせたのが間違いなのだが、しかし今日は加藤についてだ。加藤は『2』でも死んでしまい、小学校四年のおれはテレビを当惑して見たのだった。なんで? 要塞都市から真田が生きて帰るのなら、加藤も生きていいはずやん。続編は加藤なしかよ。

と思っていたら『新たなる旅立ち』に加藤が! 「えーっ?」と思って見てると言ったね、『オレは弟の四郎です!』なるほど、その手があったか! しかし四郎は出てすぐ死んで、『永遠に』で五郎が出て死んで、『3』で六朗、『完結編』で七郎が死に、その後八郎九郎と死んで、あの『復活篇』とやらでは十三郎くらいのやつがやっぱり出てきて死んだとか……。

きっと一郎と二郎君も誰かが死なせているのだろう。気の毒なのは親である。一郎二郎まではともかく、三郎ア然四郎で茫然……ふつうそれだけ兄弟死んだら、映画の『プライベート・ライアン』みたいに「お宅からはもういいですよ」ってことになりそうなものではないか。

そして『2199』である。最初から加藤兄弟が乗り組んでいて、一話で一郎、二話で二郎、三話で三郎と死んでいく。で、最終二十六話で加藤二十六郎君が古代に「兄貴達のひとりとして無駄に死んだ者はいません。隊長、あなたは素晴らしい!」とか言って……まあ両親も納得なのなら、それでいいんでしょうかね。



作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之