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ヤマト航海日誌

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2019.2.20 加藤をウルフ金串にするな



おれがいま思うにだな、オリジナルの『ヤマト(1)』はカラッとした明るい調子のアニメだった。

おれはそこが好きだった。なのにおれとしたことが、どうやらそれを忘れていた気がする。

おれだけでなく、世間のみんなだ。おれ達は今その点をよく思い出すべきなんじゃないか。

特に加藤だ。オリジナルの加藤三郎は、カラッとした明るいキャラクターだった。おれはそこが好きだった。なのにどうやらそれを忘れていた気がする。

おれだけでなく、世間のみんなだ。おれ達は今その点をよく思い出すべきなんじゃないか。

オリジナルの加藤はカラッとして明るい。そうあるべきキャラであり、『ヤマト』の中で古代進を含む誰よりカッコよくなくてはいけない。それでこそ加藤であり、そうでない加藤はぼくらの加藤三郎じゃない。


だから『2202』の加藤はぼくらの加藤三郎じゃない。


『2202』の加藤についていろいろ言われてるようだが、おれに言わせりゃ選択がどうのこうのとか、なんでそんなスイッチが誰でもラクに持ち出せるところに置いてあったりするんだとか、言う以前に加藤をつまらん男にしたら話がつまらなくなるだろうが。そんなことがわからんのか。福井お前、ホントにウルフ金串になったな、加藤がウルフ金串じゃないかと、福井晴敏に言ってやりたくなったのだけど君はどう思いますか。

加藤はカラッと明るいキャラでなければいけない。断じてウルフ金串であってはいけない。けれど、加藤をウルフ金串にしたのは元はと言えば出渕裕だ。出渕裕の負の遺産を受け継いで話を作っているために『2202』がああいうことになっているのだ。それを忘れるべきではない。

出渕裕は『2199』で、加藤をいつもムスッとしてブツブツ念仏を唱えながらロッカーをガンガン殴りつけてるキャラに作り変えた。あれはおれの加藤じゃない。

おれが好きだった加藤じゃない。なのに『2199』のファンは、あんな加藤を良しとしたのか。出渕裕がこう変えたから、加藤はこれで良しとしたのか。許せん。そんなやつらはなあ、おれに言わせりゃ『ヤマト』のファンなんかじゃない。『2199』のファンは『ヤマト』のファンではない!

おれはそう言う。『2199』の中でカラッと明るいキャラは、原田真琴だけである。それ以外はクルー全員、『暗い、明るい』と言う以前に全員がオウム真理教徒だから、「修行するぞ修行するぞ」といつもブツブツ唱えてる感じだ。

そんな『ヤマト』は『ヤマト』じゃない。『2199』は『ヤマト』じゃない。『宇宙戦艦ヤマト』は重い使命を背負い旅立つ船の物語である。けれど話はカラッと明るくなくてはいけない。なのに、いちばんカラッとしてなきゃいけない加藤があれでどうしますか。どうして加藤がああなったと言えばそれは出渕のやつのせいで、『2199』第一話で古代が加藤のものである〈ゼロ〉を盗んで壊すからだ。

出渕が話をそう作ったからだ。あれをやられたうえに古代が自分の上で、代わりの〈ゼロ〉を与えられてる。これでカラッと明るい顔をしたら哀れなピエロだから、もう最後まで不機嫌な顔でブツブツ恨み言を垂れ、ロッカーを殴り続けるしかない。で、『2202』で、遂に忍耐の限度を超える。


そういうことになるしかない。今のおれがそうなりかけているように。


君は信じてくれないかもしれないが、本来おれはカラッとして明るくいたい人間である。自分ではそのつもりである。本当ならばこんなところにこんなことブツブツ書いていたくない。

この日誌のどのページにも行間からおれがそこらにあるものをガンガン殴りつけてる音が常に聞こえていると思うが、おれはちゃんと自覚していてできることなら止めたいのだ。でも止めると怒りのあまり完全に自分を抑えきれなくなって、押しちゃいけない地獄行きのスイッチを押してしまいそうだから、踏みとどまるためその辺の物をガンガンと殴っていなけりゃならないのだ。

と言うわけで前回の話の続きだが、〈ステルス兄貴〉さんにはほんとに悪いことをしたと思っている。ロッカーよりは殴り甲斐がありそうなものが目の前に転がってたから、軽いつもりでちょっと小突いただけのはずだったのだ。うん、ホントはそうだったのだ。やった途端に『わ、やり過ぎた』と思って手を引っ込めて、それでおしまいにした気でいた。

なのにあのコメントが、完全には消えていなくてまた送っちまってたとはなあ。いや、前回に書いたように、そのコメントが最初はおれの実名である《信之》の名になったから、それを《イスケ》にするにはどうすりゃいいんだと思いながらアレコレやっている間に、送信を取り消しただけではおれの〈マイページ〉にまだ残っているそいつをあらためて知らぬ間に送ってしまったと、いうことなんじゃないかと思うのだけれど、よくわからんのだよな。気の毒に。随分と神妙な調子の返信が来たけどあれはおれが悪かったと思っています。

でも、それはそれ、これはこれだ。君がおれの『敵中』を盗んで広めるようなことがあれば、それは必ずおれの知るところになる。そして君が〈トランジット波動砲〉を撃つタイミングを見計らって、君のもとに《島田信之》の名前ですべてを凍らせるコメントを送り届けてやる。

おれにそれができないと思うな。うれしいことに〈ステルス兄貴〉さんのおかげでひとついいことを学んでしまった。それをやるのがどんなに簡単かと言うことも。

おれのコクピットに届いた情報のおかげでおれは悪魔のスイッチを手に入れ、君に対して「ごめんな。地獄へ行ってもらうわ」と言って押すことができるようになったのだ。

――と、そう言えば〈じぱんぐ〉で、あれについては悪いことをしたと思っていないのだけど、あいつ、やっぱりこのサイトで昔はそこそこ知られた存在だったようだね。おれが今、このサイトで一位にあるため二位集団にいる中のひとりにコメントしたのが残っているのを見つけたぞ。それによると、自分は投稿作の表紙にフリー画像を使っているとか書いてある。ふうん。さぞかしかなりの作を出して人に読まれていたんだろうな。

そこへ行くとおれなんか今はトップと言ったってねえ。結局、相変わらず読んでいくのはこれ以上読む人間が増えないように増えないようにと思ってるやつだけなんだ、というのが見ていてよくわかるよ。なんかこの辺でまた出してやろうか。フリー画像でも表紙に使って。

〈パブー〉に出してる『図書館の本を濡らしたら』なんか、今ここに投稿したら読まれるかもしれないぞ。君らが考えを変えないならそうしてやろうか。ええ、どうだ。

まあ、すぐでなくていい。それはおいおい考えておくよ。おれはほんとはカラッと明るくいたいんだ。なのに君らみたいなやつしか今のところ読まないから、今のところこんなものを書いてるしかないだけでさ。

〈じぱんぐ〉に悪いと思うことはないが、〈ステルス兄貴〉には悪いことをしたと思っている。しょうがないから『星の海へ』と言うやつをいま読んでみたりしている。
作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之