小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ヤマト航海日誌

INDEX|168ページ/201ページ|

次のページ前のページ
 

ただ、すげえ長いんだよなあ。おれの『敵中』の今までの分の倍くらいあるんだぜ。やっと10分の1ばかり読み進めたんだけど、読んで思うに、なんでこれを読む者がいるのかサッパリわからない。なんでこれを読む者が何千人もいるのだろう。そう思うが、だがそう思う一方で、なんか読んでいてちょっと楽しい。なんでこれを読む者が何千人もいるのかがちょっとわかる気もしてくる。

ああ、『ヤマト』って、しょうもないアニメだったけど、ガキの頃、おれは見ていて楽しかったな。『妖精作戦』もどうしようもない小説だったけど、しかし読んでて楽しかった。おれはどうも長いこと、そういうのを忘れていたな。

『星の海へ』を読みながら、そんなことを考えている。キムタクの『実写ヤマト』もひでえ映画だったけど、でもそれなりに楽しかった。そこへ行くと今度の『マスカレード・ホテル』。おれが図書館の〈ご自由にお持ちください〉のコーナーでもらって読んで途中で捨てた、あのひとつもおもしろくない小説よりも『星の海へ』の方がよっぽどマシじゃないのかとほんとの本気で思うのだけれど、あれを、キムタク主演で映画化する。そんなもん、見て楽しい作でないのが見なくてわかる。

それでいいのか。ダメだろう。と、そんなことを考えている。東野圭吾は金龍飛だ。だからあれが書くものは、読んでも食欲が失せるだけで楽しくないしおもしろくない。ホテルに行くとフロントマンがキムタクで、客や隣のフロントレディに「当り前のことを当たり前にしたいだけです」とか「イスタンブールの人間が中原中也を知ってると思う?」なんてなことをカッコいいつもりの顔で口だけ言う。

木村拓哉がそういう役をやりたがるのはまあわかる。プロデューサーが「木村拓哉が喜んでくれればボクはそれでいいんです」と言って映画が作られて、客が入れば原作もいい小説だったということになるのもまあわかる。

けれどもそれでいいのか。ダメだ。ダメだろう。つまらないものはつまらんだろう。と言う大事なことを〈ステルス兄貴〉におれはいま思い出させてもらっている気がするな。『星の海へ』にはおれが失くしてしまっている大事なものがある気がして、おれはそいつを取り戻さねばいかんのじゃないか。そうしなければ、おれを完全燃焼させる『ヤマト』の旅を書けんのじゃないか。

そんなことをいま考えているところです。『敵中』の外宇宙航海編をおれは全然書いてない――いや、ちょっとは書いたけどあまり気に入らなくて、筆が止まってるんだけどさ。

どうもパアッと明るい炎で自分を燃やせねえんだよ。黒いススばっかり出やがる。〈ハーメルン〉での投稿を終えたらそこでピタッと読まれなくなって、結局やっぱりどいつこいつもおれの『ゼロ』を盗もうとしていやがるのか、などと考えて気分がすさみ、そこにたまたま目についた〈ステルス兄貴〉さんを小突いたりしたんだけどさ。

あれは本当に悪かったけど、それも『2199』の〈ぶっちゃん加藤〉みたいにおれが今なりかけているからだ。イライラが抑えきれなくなって、ロッカーをガンガンどころかガガガガガンと丸いダンゴになるまで殴り、また'17年末の『宝くじの定理』みたいなもんを書きそうになってる。そんな心理状態でおもしろい小説なんか書けるわけない。

〈ステルス兄貴〉みたいなもんが書けるわけない。おれは本来カラッとして明るい人間でいたいんだよ。そうでなければ『敵中』の続きなんか書けないし書いてもおもしろくならないんだよ。『星の海へ』を読みながら、ああ、おれもこの兄ちゃんのように、純粋に楽しんで小説を書きたい、それを忘れちゃいけないんだなと思いはするが、思いながらも今も格納庫の隅に、『これを盗めばオレは古代進になれる』と思っているやつらがおれの『ゼロ』を狙っているのが見えるために精神の安定を保つのが難しいのだ。

これじゃ小説は書けません。〈ハーメルン〉で《信之》を《イスケ》に変える途中でひとつ知ったが、あのサイトのおれのページの〈活動報告〉のところに『ブログやってます』と書いてこの日誌のアドレスを出してやることもできるんだな。やってるユーザー結構いるみたいだし。おれもそうすることにするか。

ええ、どうだ。それともいっそ、また別の二次サイトに別の題で『敵中』を毎日連載してやろうか。で、何かコメントが来たら、削除したりブロックしたり、〈ハーメルン〉で返信に慣れない頃に一度書いちまったように、


『この際、そいつはまあいいかしらん。あんまり情報情報で話を塗りたくないんですよね。でもその情報は感謝します。』


なんてな返信ばかりしてやろうか。すぐ盗用を疑われ、本当の作者はおれだと知れることになるんじゃないかと思うな。で、そのときにしらばっくれて、


『ふうん、やっぱり。絶対に誰かがやると思ってたんだ』


とでも言ってやるのはどうだ。

おれがいつかはそんな手段に訴えないと思うか? いいや、ひょっとすると、もうやってるかもしれないぞ。君らの誰かがやって実名を晒されて、首を吊ることになるよりいいじゃないか。だからおれはそれをやってもいいんじゃないかな。

まあ、すぐでなくていい。それはおいおい考えておくよ。おれはほんとはカラッと明るくいたいんだからね。



作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之