父と娘、時々息子
いや、全然長いか・・・。
そのお店は創立40周年で幕を下ろしたのだから。
ママ一代で40年、北新地にそのお店は変わることなくあったのだ。
初代オーナーがいて、それが父の悪友で、その悪友に誘われて常駐のピアニストになり、母が新人キャストとして入ったことで父と出逢った。
紆余曲折あり、父と母が結婚し、私が生まれて、弟が生まれて。
平凡でちょっとした幸せが一日に一つ積み重ねていけば、最終的には大きな幸せになるような考えの家庭で精一杯楽しい生活を送っていたところに初代オーナーが亡くなった。
そのすぐ後に母が台所で皿を洗っているときに貧血で倒れ、またその次の週にも倒れた。
その時は熱もあったから風邪だと思っていたらしい。
だけど、その熱が一週間も続いて症状も治まらず、病院で血液検査をしてもらった次の日に父と母が病院に呼び出され、その日のうちに入院設備のある大きな病院へ入った。
急に決まった入院だったため、ベッドも空いておらず、三人部屋に無理やりベッドを押し込んだ形で四人分のベッドがその部屋にはあった。
入院した次の日に父だけが呼び出され、医師と面談して病名が挙げられた。
急性再生不良性貧血、つまりは・・・白血病。
当時の白血病治療は、無菌室は簡易で個室に一日の直接面会は父、祖父母だけという制限が設けられ、抗がん剤治療以外の治療法が治験状態、または確立すらされていなかった。