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父と娘、時々息子

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15・日常



 母がいなかった我が家庭では、家事は当番制になっていた。
 ほぼ父に頼りっきりということもあったが、臨機応変にというのが我が家の芸。
 母の味は知らずとも父の味はあり、冒険という意味では新種の野菜類を見つけても調理することを知らないから、真っ先に省くような安定性を持っていた。
 まぁ、生きていくための男料理だったわけだが、それでもマメ男はマメ男。
 自分のお酒のおかずとなると熱の入れようは違う。
 お酒に合わせて、和洋中色んなおかずを作った。
 男の人で白菜と御揚げを家で炊きますか?
 我が家の父はマカロニグラタンや春巻の中に入れる具材から作るような人でしたんで、家政婦いらず・・・。
 親子三人で病気・学業・仕事などの不可抗力がない限り当番を回せば、事足りた。
 何より驚くのが、父はミシン使いでもある。
 私もまぁまぁミシンは使うが、すぐにボビンや下糸を絡ませてしまい、途中で投げ出すのでもっぱら手縫いなのだが、老眼鏡かけて器用にひょいひょい糸をほどきほどき繕いものをミシンでかける。
 これには脱帽である。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.