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父と娘、時々息子

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 お店が終わり、たまたま各自で別のお客さんたちと飲みに行くことになっていたため、父一人がポツーンとなってしまい、気まぐれで母に「この後、一緒になんか食べに行かんか?」と聞いたらしい。
 すると母は別の約束を即効で断り、父に着いてきたのだとか。
 その時に父は、「この子、僕の事見てくれてる!?」と確信に変わったそうな。
 なんとなくだが、母の気持ちは代弁できそうなほどよくわかる。
 父はとにかく生活上でもマメな人には違いない。
 これは楽しい!と思ったら自分の世界に入り込む人ではあったが、人のことをないがしろにしてまでは没頭しなかった。
 どんな時でも、人と関わり、調和を取ることが自然にできる人が父である。
 そんな本人は実は超がつくほど人見知りで、しかも致命的なのが人の顔と名前を覚えるのが大の苦手だった。
 強烈な話をした人、日本人離れした顔をした人なら2〜3度会えば覚えられたが、本当に覚えられなかった。
 そして、接客中に父がど天然をかまし、母がフォローしていたのだと思う。
 私がDで働き始めてからも、父は遊びに来て「懐かしい顔やぁ〜」と言っておきながら、話しがかみ合わず、「???」となったことが何度かある。
 それを体感すると、きっと母もこうしていたのだろうなぁと思っているところに、お店のママが言い出す。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.