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父と娘、時々息子

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 働いているお店も、人と話をして、お酒と音楽があり、人のもてなし方、会話を楽しむための雑学、お酒の味と種類と合わせ方が学びながら働ける。
 だからこそ、子供の頃からあこがれを抱いていたし、働けることになったとき嬉しくてたまらなかった。
 それを、店の全体的な資金繰りの話しなんか知ったことではない。
 ずっと働ける保証も勿論ないが、目の前のことをこなして、精一杯そのお店に這いつくばってでも貢献し、わずかな報酬を得るのがその時の私のしたいことで、やるべきことだった。
 それこそが父には不安だったのだろう・・・。
 もうそろそろまともな仕事に就けの一点張りだったが、まともな職に就ける自信もなければ、まともな職場に就くつもりもない。
 そもそもがまともな仕事の家柄ではなかったため、まともの基準が私の中では成り立っていないのだ。
 私の偏った価値観は、日常の一つ一つの発見で働いていることを見出している。
 人の考えに触れるというところでは、それこそ発見の連続で仕事上の人間性なんて、軍隊式に飼いならされた表向きの性格が出ているだけに過ぎない。
 私が触れたいのは、その裏を思わせる影に興味を注がれる。
 だからこそ、人の言葉に強い興味を示すのだが、自分自信を殺してでも普通の生活を送ってほしいと思うのが親の心らしい。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.