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父と娘、時々息子

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 この父と娘にとってこの旅行の意味は一体なんだったのか、それは日ごろ言わないような事が素直に出てきて、お互い知りたいことが出てくることが多かった。
 特に、夕飯を食べて、部屋に帰ると日本で買ってきたおつまみと共に免税店で仕入れた安ウィスキーをコーク割で呑む。
 これがまた酷く甘い。
 だけど、この酷く甘いのが私達二人には海外旅行の寝酒の味として定着していた。
 その時に色々日本ではなかなか言い出せないことや、聞きたいこと、その旅行で起きた一日の事件などで会話の糸口を作っていく事を覚えたものだ。
 
 親子間で恋愛の話しをしたことがあるだろうか。
 私はたくさん聞いた。
 父と母の出会い、どういう恋愛をして、なぜ結婚に至ったのか。
 結婚に至るまでどれだけの時間を費やして、結婚をするにあたっての弊害は何だったのか。それだけではなく、この時はまだまだ先であろうと思っていたもしもの話し・・・。
 私だけではなく、誰もが聞きたくないであろう自分の身にもしもの時があったとき、自分はどうしたいと望んでいるのかという話しが旅行先では意外と柔らかく聞こえたりするものである。
 家の中では私は聞きたくないの一点張りでよく逃げ回っていたが、旅行先ではよく父のそういう話しを聞かされても逃げる場所がないからというのも一つだろうが、少しだけ素直に聞けたのだ。

 次章ではそのことについて掘り下げる。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.