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父と娘、時々息子

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 それでも私たちが行ったあのころは旅行会社が「とにかくその二つは必ず入れてきてください。」と強調していうほどで、トランクに最低2セットずつフェイス、バスタオルを入れていた。
 私達と同ツアー参加者達も荷物がデカくて多かった。
 その荷物を空港へ持って入って、海外へ発つ時点ですでに一発目の口喧嘩が勃発するのだ。
 エクスチェンジがどうだのこうだの、パスポートはまとめて持っておいた方が安心だ不安だと言いあい、飛行機にすら搭乗していない時点で必ず一つはぶつかる壁である。
 出国審査をうけ、ゲートをくぐったら一つやることがある。
 免税店で出先で呑むお酒(洋酒)を一本調達し、あとは搭乗案内が出るまで出発ロビー内でウロウロするか、缶コーヒーでも飲むかという感じ。
 私たちは搭乗案内が出るまで個人的行動をする。
 父は某有料ロビーで優雅にコーヒーを飲みながらポケーッとしているし、私は近くのコンビニかカフェでおにぎりかサンドと飲み物を買い、搭乗ロビー前で食べてテレビを見ていた。
 そういうときくらいお互い一人で行動して、休息をとっておかないとヨーロッパまでの飛行はとても長い。
 しかも、父はいい具合になるまで機内で呑み、爆睡するようにしているのだ。
 それがうまくいかないときは、私は隣でたたき起こされ一緒に観たくもない映画を見させられる羽目になるのだ・・・。
 基本、私たち親子はメインはともに、サブは個人でというメリハリがはっきりしている。
 旅行一つするにしてもそこで一人になれる時間というのを自然と作って、個人で別々の世界を持つことで一緒にいても苦しくない空間を作るのが得意らしい。
 その出発ロビーでの個人行動というのは、必ず二人とも何も言わなくてもしていたし、時間になったら改札前で落ち合うようにしていたから、何ら問題もなかったし困ったこともなかった。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.