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父と娘、時々息子

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 あと大事にしていたのは調和だ。
 無闇に敵を作るのではなく、調和で人の輪を広げていくことを自然にできた人だった。
 本人はよく人見知りする方だとは言っていたが、そう思っているのは本人だけで、周囲の人間はこんな人当たりの良い人、人見知りなはずはないと思っている。
 父は人の名前と顔を一致させるのが苦手だったことがあり、人見知りはそこから来ているのだとも言っていた。
 私から言わせれば、名刺とどんな話をしたかくらいメモにとっておけば、思っているよりも記憶に残るものなのだが、超が付くほどのめんどくさがりなので、とうとう最後までファイリングはしていなかったようだ。

 めんどくさがりなくせに、自分の趣味に関しては熱心であった。
 ゴルフ、お酒に合う肴を自分でせっせとこしらえたり、テレビゲームの麻雀にどっぷりはまり込んだりと、まぁまぁめんどくさそうなことなのに楽しいと凝りはじめる。
 めんどくさがりのマメ男さん、それが私の父だった。


作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.