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父と娘、時々息子

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 同じ世界には飛び込んでほしくはない、そう思う父の思いとは裏腹に私は隠れてどっぷり浸かっていく。
 お店で働くにつれ、大人の音楽はとても深く難しいことが見えてきた。
 特に難しいのはジャズとシャンソン。
 このふたつは歌詞を間違えると、とてもなぞらえにしか聞こえない。
 重要素は人生経験と年齢。
 ジャズ、シャンソンは恋愛や人生観を謳う。
 歌うのではなく、謳うのだ。
 オールディーは特に私が扱える物ではなかった。
 そういうことを知ることができたのも、身近に感じて居られる場所があってこそで、その店はまさに理想の場所だった。
 年月を重ねるごとに父のお店で働くのことに関しての話しは少なくなっていった。
 そのかわり、お店で出会った父の昔馴染みの話しや、お客さんが歌っていた曲に関しての話しをしたりして、その曲のアドバイスなんかも貰ったりと、二人の間での話題が増えていった。

 秘密活動が活発になればなるほど、実は父の思いと裏腹に父との話題が増えていったのも事実。
 そこから変な親子の称号を付けられるほど、独特な道へ親子して突っ走っていくようになる。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.