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父と娘、時々息子

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10・秘密活動



 何とか父のいうの通りにCG科を卒業したが、職にはつながらず。
 そもそも、私が選んだ学校は声優養成科のみが就職じゃなく、契約率を誇っているわけで、他の科といえば・・・、言わずもがな。
 いくら、入学志願締切だからって慌てたのがよろしくなかった。
 もし、私が強行突破したら、学費を払わないとも言いかねず、父の言うとおりにするしかなかった。
 そして私はやり切り、卒業して見せたが就活は実を結ばず、私の最悪のシナリオ通りに事が運んでしまう。
 このままでは私は私の本来したいことや、力を入れているところが朽ち果ててしまう危機感に襲われた。
 その頃からだ。一日に一枚のノルマをつけて文章を綴りだしたのは。
 表現することを止められず、捨てられるはずもない。
 表現者のいる家に生まれ、育ち、出来上がってしまった私。そう簡単には手放せはしない。
 スーパーのバイトをしていたが、ほぼ自らの考えを口にできない職場では日本語力がガタ落ちしてしまうことを踏まえ、辞めることを視野に入れ、キリの良いところで店長に辞める旨を伝えた。
 しばらくして、給料のシフト締めを機に辞めてからは、本という本を読み漁り、ドラマというドラマ、アニメというアニメ、映画に舞台と文章に関わっているものすべてを吸収するかのように脳へインプットした。
 世界観のあるものに強く惹かれ、音楽のジャンルも当時から様々な方向へ飛んでいた。
 ジャズは勿論、ロック、Jフォーク、USフォーク、カントリーウェスタン、サルサ、ラテン、フォルクローレ、インスト、R&B、演歌などなど。
 特に根づいているのはケルティック、カリビアンと意外なのかどうなのかHR/HM。
 ケルティックは各地に散っているジプシー超音楽にも似ていて、とても多彩な変化を見せる。
 歌詞によって曲調が弾んだり、風が吹くようにただただそよぐ曲調だったりと、風景が出てくるような音楽については他のジャンルの比ではないほど繰り返し聞いた。
 そうやって日々を言葉で埋め尽くして、文章での表現を広げていた。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.