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父と娘、時々息子

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09・限界の拡張



 私はよく周囲から、毒を吐いてはいるが本気で怒り狂うといったところは見ないし、大人だよね…と思われているらしい。
 本人がそう言うことを苦手としていて、本気で怒ってしまうだけの気力も体力ももったいないと思う人間なので、極力避けているだけだが、それを大人だと受け取ってもらえるのなら、こちらはツイていると少し嬉しい。
 本来、私の性格上喜んではいけないのだが、周囲は良かれと思って口にしているのがわかるので、自然と嬉しくなってしまう。
 でも、最初からこんな性格ではなかったようだ。
 幼少の頃は、友達とおもちゃの貸し借りもできず、高飛車で、自分の中心の超がつくほど人見知りといった問題児だったらしい。
 気に食わないことがあると、物を放り投げる、気分が変わってしまうと人のこと放置して、集中したいことに埋没し、挙句遊びに来た友人に「早う、帰り!」と放ってしまうような子供だったようだ。
 その当時は子育てを母に任せっきりだった父・・・。
 子育てには積極的に参加していたつもりだったが、母が亡くなってから父が一手に担ぐことになってから、自分がどれだけ気まぐれに子供の相手をしていたかがわかったそうだ。
 昭和一桁生まれの父が言うには自分も含め、日本の男どもが弱いわけがよくわかる…と。
 晩酌に付き合うと必ずこの言葉から会話が始まり、寝言で「女性は強いよ・・・。凄い・・・。」そうはっきり言ってしまうほど、真意に刻み込まれていたようだ。
 それもやはり、幼少の頃の私の気象と弟の性格を身をもって知り、根気強く教え、少し雑にも扱わなければ、弱くなっていくことも目に見えて分かるようになるのだとか。
「親って大変で、すごいわ…。」と父に言うと、「父親は何もできんから、せめて外から攻撃されて来たら自身の体で盾になるぐらいしかできん。」と返すところがまた尊敬するところなのだが、前章までにも書いた通り、私の家はかなり複雑。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.