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父と娘、時々息子

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 真ん中の兄達と小規模とはいえ、何らかの衝突を覚悟させておきながら、もしも法的手段を持ってこられた日にはこちらが用意なしには挑めないことは明らか。
 それこそ私と弟の主張分も根こそぎ持っていかれることまで、考えは至らなかったのだろう。
 それと、もしかしたら最後の望みをかけたのかもしれない。
 元は家族だったのだから、父の思いをあちらが少しでも汲み取ってくれるかもしれない、と。

 本人は私と弟が傷つくと思って、あの中年女性が私にどう関わってくるのかを言わないまま、父はこの世から引退した。
 だから、私の中ではあの女性は疑惑の塊で、憶測から脱しないのだが、2番目の前妻(私は前嫁と呼んでいる)ではないかと睨んでいる。
 何の目的があって、父の身辺を本人が探るような真似をしていたのか、私には知る由もないし、特に知りたいとも思わない。
 だけど、こういうことをする人の真意は実に単純で、金銭的なことか、人格としてねちっこいだけかのどちらかである。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.