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父と娘、時々息子

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 中学生の軽い説明だけで迷うことなく、どこかへ電話をかけた父の行動を見るに、明らかに誰が来たのか直感が働いたのであろう。
 それ以上のことは「お前が傷つく必要はない。」と言って、詳細を父は話してくれなかった。
 だけど、この時から父は自分が死んだ後の話しを明らかに気にし始め、自身で様々な手続きに走るようになる。
 私はその話が嫌いだった。
 まるで父の命の対価としてお金に変えられている感覚で、それをまた人との間でお金の取り合いになってしまう現実があることを仮定しなければならない事実、それらすべてが嫌いだった。
 ましてや、父自身にそれを聞かされるということは、父が近いうちに死ぬと宣言されているように思えてしまい、どうしても聞きたくないと私は感情的になった。
 ただでさえ、私の想像力が強く、感覚も鋭いというのに、父も自分にとっての憂いは隠しているつもりでも、行動や言動で出てしまっている。
 極め付け「何があっても、この分は他の兄弟には関係性のないもんやから、主張して来ても突っぱねてしまわなあかん。」なんて言ってくるものだから、我が家でも小規模な衝突があるかもしれないとうっすらわかってしまう。
 その割に詰めが甘いのが、我が家系の男性連に多い特徴で、私が「信頼の置ける弁護士を一人立てておいたら…?」と提案すると、「そんなんは自分達でするもんや!」の一点張り。
 そうなると、もうそれが正しいことになってしまい、私にはどうすることもできなくなる。
 はっきりと言おう。
 矛盾したことを父一人でバタバタやっていたわけである。少なからず私にはそう見えた。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.