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父と娘、時々息子

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 父はあまりネガティブな感情には動かない人間だったが、兄たちのことになると殊更起伏が激しかった。
 舞台以外に大きな声を出されたり、出したり、すごまれたり、すごんだりというのが本人の不得意とするところで、そう言ったところは全然見たことないのだが、何度か電話口で厳しい口調に大きな声を出し、感情をあらわにしていたことがある。
 私もそういうときは「どうした?」とは聞かず、「大丈夫?」と聞く方なので、そこで緊張がほぐれるのかポロポロと電話の内容を口から零していた。すると決まって兄達と前嫁さんのことだった。
 
 まぁ、私はまだ言って貰えていた方なのかもしれない。
 他の家庭ではタブー視しているから、親が口にはしないだろうが、それで困るのは実はいうと子供なのだ。
 どんなに準備をしていても、弁護士やその手のプロを雇わないとこういった案件は長引くだけ長引く。
 言って貰っていても、長引くものなのだ。
 
 蓋を開けてみて、その頭痛の種は私が引き継ぐことになりそうである。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.