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父と娘、時々息子

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 こう文章で書くと、兄や姉が増殖しているようなことになるが、そうではなくて兄や姉からしたら人間として存在し始めた年数が少ない新参者は私と弟であるからして、増えたというのは間違ってはいる。
 だけど、私には降ってわいた話であって、いくら先人とは言えど私の頭の中では増えたに近い。
 そして私の頭の中は7人兄弟というキーワードに沸騰してしまう。
 父に問う。

「なんで今迄、兄弟のこと教えてくれんかったん?」

 それに父は答えた。

「今迄その必要性がなかったし、言うてどうなることでもないやろ・・・。」

 父がこうした言い方をするときは、自分は絶対に間違ってはないと強く思っていて、先々意見を曲げることはない。
 父にとってそうすることが平穏が長続きすると信じていたようだ。
 そのことを聞いて以来、なんとか自分を言い聞かせて認識するように勤めた。
 父は分かりやすい人間であることを書いたと思うが、実はあまり間の兄弟のことを聞かれたくなかったように感じる。
 そう思う理由は「なんとなく」としか書けないが、家族だからこそ雰囲気で読める感情もある。
 この時は、その空気をいつも以上に表に出していた。
 もうこの空気に晒されるのはうんざりで、最後の最後まで聞きたいとも思わなかった。

 ただ、現在父を亡くし、父の思うところの意図がわかり始めた。
 恥じることは一切ないと言っていた父だが、もしかすると唯一恥かもしれないと思っていた事柄だった可能性がある。
 間の兄達がいることではなく、兄達の浪費癖と父から引き継いでしまったヘタレ癖。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.