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父と娘、時々息子

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 クールダウンを図るためだ。
 でも、落ち着けと自分に言い聞かせれば言い聞かせるほどドツボにはまっていくもので、歩けば歩くほど涙が止まらなかった。
 父に言いつけられていた門限を4時間も過ぎて、家に帰ると何も聞かずいきなり頬を叩かれてしまった。
 そこで、プツンと切れた。
 泣こうが喚こうが、胃癌がありませんでしたとはならない。
 そしてまた、不安な物は不安であって、その不安も消えることはない。
 泣きながらでも、父に事実を伝え、全部吐き出してしまえばなんとかなることだってある。と、思った。
 思ったままに父に夕方にあった事実をすべて伝え、私の不安をすべて話した。
 もし、胃癌の手術をしてどのくらい生きられるのか、父が亡くなったとしたらその後どうすればいいのか、どのくらいが成功なのか。
 ありったけ、患者本人である父にぶつけると、父もすべて把握しているわけじゃない。
「お前も病院で説明受けるか。」
 その言葉が後々救いになる。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.