父と娘、時々息子
娘だと答えると、年齢も聞かれた為、正直に14だと答えた。
すると医師は絶句した後、「すみません。てっきり奥様かと・・・。声がとても落ち着いていたので・・・。」とわけのわからん言い訳をされ、謝罪されまくられたが、それで胃癌が消えてくれることもないのでそんなことどうでもよかった。
私も淡々と、父の仕事相手に対応するのと同じように接し、最後も「失礼します。」と言った後に受話器を置いた。
それからが、自分の感情と受け止めるための器との戦いだった。
勿論そんな大きな器を持っているわけもなく、自分一人では崩壊するのは分かっており、だからと言って弟以外の兄弟はほぼ付き合いがないので言えるわけもない。
頼りがいのある母方の親戚にも、全部説明できるかわからず、連絡を躊躇ってしなかった。
一人、自分の部屋で父のいないうちに大声をあげて泣いていた。
こうしてまた私と弟は二人きりになるのかと。やっと父と一緒に住めてまだ4年しか経っていないというのに、もうこれなのか・・・と。
同時に母が亡くなったときの記憶と、あの時の不安が一気に溢れ出して、父のことで不安になっているのか、母がいなくて不安なのか混乱状態に陥ったまま、あてもなく外へ出た。