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父と娘、時々息子

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 そういうときに必要なのはやはり、娘が信頼を寄せている大人の女性が肝心。
 私はそういう意味では恵まれていた。
 母方の実家の親戚筋と、父が仲が良く、何かあるとすぐに集まって、会話が始まるような付き合いをしてくれていたため、一番信頼できる人ができた。
 私は母方の叔母を一番信頼しており、小さな悩みでもすぐに相談できた。
 一方、父方の家はもうほぼ付き合いがなく、父自身が実家の中でも長老に近かったため、相談される方であって、来訪はたくさんああったが、こちらから帰るというのは指折り数えるほどしかなかった。
 なんにせよ、信頼を寄せる大人の女性の存在というのは、同じ女性にとって重要な人だ。
 父はそれを見込んでだったのか、本当に母方の実家と馴染みやすいからなのか、よくコンタクトを取って様子を伺い、悩みを共有したりしてコミュニケーションをとっていた。

 大概父親は母親が不在になってしまった場合、母方の実家との関係が薄くなることが多いらしい。
 だが、子供のほうはというと、母方の実家、親戚筋に馴染んでしまう。それは、母親が子供を連れて里帰りし、会話をよくしているから、言語分野と精神的なつながりが強まるからだそうだ。
 父方の実家は帰って話しをしても、父親がそう話し好きでない限り、雑談など長々とはしない。そこに原因があるようで、子供はいくらか緊張しているという。
 そこに思春期の女子が悩みをぶつけられるだろうか・・・。
 なかなかに難しいだろう。

 私の友人に事情は違うが父子家庭に育ったというのがいる。
 その友人と話していた時、たまたま父と母方の実家の話になり、うちは円満で仲が良いことを言うと、彼女は信じられん、と言いたげにしていた。
 彼女の家は父親が母方の実家を嫌いではなかったが、もう無関係だと思っているうえに、父一人で子供も育てられないのか、と見られるのが嫌で絶対に連絡しなかったそうだ。
 思春期に入って、初潮を迎えた時にどうしたか尋ねると、自分で処置したけど、心の整理がつかずこんな私でも怖かったわぁ・・・。
(彼女は活発でサバサバと男勝りな性格をしている、見た目可憐女子なのに)
 友人の言葉はなんとなくだがわかる気がした。でも、友人の事情を聞けば聞くほど恵まれていたと思う。
 私の場合、初潮を迎えた日が平日で、処置の仕方はわかっているためできるが、やはり心がついていかなかった。
 それも、父は何も知らずに朝からせかすものだから、私もその感情を受け取ってしまい「そんなんかまってられんわ!生理来てどうしたらいいがか、わからんがに!!!」と怒鳴り散らした告白となった。
 そのあとはもう、いくらむかついたからって怒鳴ってそんな申告しなくていいのに、してしまったことで自分に腹立てて、結局一日部屋で寝てるしかなかった。
 
作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.