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父と娘、時々息子

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 極めつけが、食べ物の好き嫌いが激しすぎて、3歳児が食べる最低絶対量が足りず、栄養失調が悪化してそのまま中耳炎まで起こしていた。
 祖母は栄養をつけさせようと、色んなものを出すものの、好き嫌いが激しい弟は何かと残し、背の順でも断トツ前の場所を誰にも譲ることはなかった。
 襖を破っても、落書きしようが、癇癪起こして暴れようが、「これっ!」というだけで、なぜ叱られてるのか、むしろ叱られてるのかわからないやり方ですべて終了してしまっていた。
 私がそんなことしようもんなら、団地の棟全部に聞こえるくらいのでかい怒鳴り声が共鳴するのだが、弟に関してはそれがなかった。
 そこで悟った。
 あぁ、こいつは私と違っていて、ある種特別なんだけど、ろくな奴に育ちゃせんなぁ・・・と。
 悟る、幼稚園生。
 案外、幼稚園生、特に長女はこういうことをはっきり覚えている傾向が強い。
 私は大概捻くれているので、根に持つというか覚えてるのも納得できるが、他の長女さんに聞いても、弟または妹にだけ凄く甘かった!!!という人が周囲に多くいる。
 そして、みんな初めての記憶が幼稚園生。
 長女が抱く、下の兄弟への劣等感が初めての記憶って言うのもせつないものがある。
 だが、これらのことから、父以外の親族が弟に対して叱ることができない大人であり、甘々だったことは分かっていただけるはずだ。
 金沢での弟の扱いというのは、本当に猫かわいがりに近いものがあり、祖母が甘々でことあるごとに名前を読んでいた。
 いくら私より確かに小さいからと言って、構い過ぎの気は誰から見ても明らか。
 弟も徐々に知恵をつけだすと、エスカレートしていった。
 そもそも、子供の頃から人見知りが激しく、常に誰かの後ろに隠れており、ぽけ〜としていても代わりに大人と私が謝ってついでに挨拶もしてくれるということを覚えてしまった。そのせいか大人になった今でもややこしいやろうなぁとわかると私に丸投げしてくるのである。
 弟の性格上、なるべく他人、あんまり合わない親戚と会わずして生活したいと思っているため、いかなる人間も寄せ付けない。
 私に返事すらしない・・・。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.