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父と娘、時々息子

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 最後の最後までその借金の総額を聞けなかったが、だいぶでかい金額ではなかったのかと推測できる。
 それを、父は見事6年で決着をつけ、私達姉弟を迎えに来た。
 その時分には、完全なる金沢っ子になっていた私たちは大阪へ帰ることを拒否したが、所詮子供。そんな拒否権は認めるはずがない・・・。
 問答無用といった形で、私達姉弟は大阪へ帰ってくることになり、父の身勝手さに1週間は口を利かなかったように思う。
 現実を知らなかったにせよ、狭い小学校生活、新しい環境で新しい友人関係をまた作って、なんてもううんざりしていた。
 両親ではなく、祖父母に育てられていたことで軽いいじめにもあっていたが、私自身はねっかえりだったため、反対に言葉で噛みついた。
 面倒に巻き込まれそうになったら、孤立を貫くといった捻くれた手段も多用した。
 そんな風な処世術が、私の中で確立されて、金沢の学校生活もやっと馴染んできたと思ったところに、帰阪の話だ。
 滅多に癇癪を起さない私が父に対してそこで初めて癇癪を起し、父に実力行使で抑え込まれたことを覚えている。
 学校も手続きされては、もう完璧大阪へ転校の印は押されたも同然だ。
 その手続きっていうものに、
「大人ってやつは!!!」
とぼやいていた。
 後で知ったことだがその捻くれた処世術、父には筒抜けで、初めてそこで
「このまま金沢に置いておいたら危険や!」
と危機感を持ったという。
 まぁ、実の親なら色々考えると危険だと思うだろう。
 そうやって、6年の金沢、大阪間の二重生活が終わりを告げた。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.