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父と娘、時々息子

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 そうやって会いに来てくれたということは守るべき存在として、親の愛情をかけていてくれたことには何の疑いもない。だが、そうやって理解したのは成人してからの事。
 残念ながら子供というのは残酷な生き物で、現在の物象と想像、実験ですべて成り立っている。
 浅い場所で、現実にそばにいないから、どんな我儘や病気をしたにしても、すぐに飛んでくることができないことに、捨てられたんじゃないか?と思っていたのも事実だ。
 勿論、現実にはないが、それが理解できなかったのだ。
 経済的に離れて暮らさないと、生活がままならない事情というのが必ず片親家族というのは出てくるものである。
 ましてや、夫婦でローンも何もかも含めた借金があって、片親になってしまった場合、残酷な言い方をすれば子供にかまっている余裕なんか本来はない。
 だけど、自分の子供を守るために家庭に入る父子家庭があり、家庭を守るために外に働きに出る母子家庭がある。
 それはそれでいいだろうが、現実はそのせいで守れていない事実もある。
 生活できるためのお金があればいいのか?生活を維持するため仕事を捨てても良いのか?
 そこにも父は苦悩したらしいが、一番は全ての調和と覚悟を持つことが重要で、何より自分のプライドを捨てた。
 そもそもそのプライドが自分の命よりも長く続くはずがなく、むしろ子供たちはプライドよりも長く長く生きてくれることだけは明確であることを理由に、私達を金沢に預け、借金を返すために働いた。

作品名:父と娘、時々息子 作家名:SAYA.