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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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月に吼えるもの 神末家綺談6

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突如、またしても子どものような声が降ってきた。この神だか精霊だかしらぬ存在は、時折予言めいたことを少年に言って聞かせることがあった。これもまた、先を見越しての予言だというのだろうか。

「西の空とは、帝のおわす都のことか」
「あかくもえあがるのがみえる」

不吉なことを言う。少年はみずはめが走り去ったほうを見つめてその不安を打ち消すように、努めて明るく言ってやる。

「都は燃えぬ。妹が、必ず雨を降らせるだろうから」

もえるだろう、と声はなおも続けた。

「さだめの子よ、ゆくさきはかえられぬ」

それきり気配は去った。

「・・・・・・」

からかわれているに違いない。いつものことだ。退屈まぎれに、少年をからかっているのだ。

しかし。

「都が・・・燃える・・・」

その言葉はいつまでも耳に残り、心にひっかかり離れなかった。
それが己の運命を大きく変えてゆくことを、少年はまだ知らない。





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