鉄の馬で日本を駆けろ!
八月二一日 ちょっと寄り道
何度も書きましたが今回の旅の目的は、
47全都道府県上陸
でありまして、ここで寄り道をしなければならないのです。そう、四国地方です。四国は同じ年の5月に授業を三日サボって四国一周を果たしたことがあります。なので道はある程度記憶に新しい。
ただ、四国の入り口が限られている。現在地は広島県。当時は来島海峡大橋はなかったので、結局瀬戸大橋で四国に渡ることを決める。そうと決まれば早速出発、山陽道を東へ走り倉敷インターでひとまず公道に出た。
知った道なので道中は速い。倉敷の美観地区を見たあと児島インターから瀬戸大橋に入った。途中の与島PAでちょっと休憩しよう。
……と、思っていたらいつの間にか二時間くらいが経過していた。そうか、ベンチで寝てしまったんだな。それだけ疲れているみたいだ。
* * *
うたた寝をしたために思わず時間のロスになってしまい、国道11号線を西に走らせて松山に着いたのは陽が暮れかかった頃だった。
松山といえば道後温泉、日本最古の温泉とも言われ、明治の文豪にして当時の千円札である夏目漱石もここで教師をしていた頃よく立ち寄ったと言われてる。
早速今日も1日の疲れを癒すべく夏目漱石のお金を払って入浴。今日はやけに周囲が騒がしい。以前に来たときものんびりととした町なのになんで?と思っていたら、風呂からあがって町を闊歩していると、この日あった甲子園での決勝で、地元愛媛代表の松山商業高校が見事優勝をしたそうです。それも絶体絶命からの大逆転という劇的な勝ち方で※。
そりゃ甲子園といえば地元思い入れナンバー1のスポーツのひとつ。町は大騒ぎになるわけだ――。
長い長い旅でたまたまこの日に松山にいるとはなんたる縁。地元のお祭りムードの中、野宿ポイントを探すがこれが見つからない。
そこで探すのに気力を使いきった僕は公園のベンチ、それも間50センチほど間隔が開いているそれで、無理矢理「ブリッジ野宿」をすることにした。もはや疲れを回復するための手段ではないな……。
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本日到達した都道府県。
岡山、香川、愛媛
(44/47)
※後日知ったことですが、この日行われた甲子園の決勝戦「奇跡のバックホーム」で検索すればヒットする甲子園の歴史に残る奇跡の試合だったそうです。一見の価値ありです、リアルタイムで見たかったなぁ。
作品名:鉄の馬で日本を駆けろ! 作家名:八馬八朔