鉄の馬で日本を駆けろ!
八月二〇日 本州再上陸
寝たか寝ていないか分からない夜が明けた。この旅もかれこれ4週間続いていて、単車もそうだが自分自身の疲労もかなりたまってきているようだ。出発当初は日本全国津々浦々いろんな名所やいろんな食べ物をと思って走り続けて来たが、現在の目的地は家に帰ることで基本的には行ったことがある地区を通ることになる。となると旅がもうすぐ終わるという寂しさも加味してテンションが下がりつつあるのは否定できない。
だけど、僕の旅はまだ終わっていない。あともう少しだ、気を張って行こう。
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体力も落ちぎみなので、当初は大分からフェリーで四国に渡る計画をしていたが、それでは広島県を通らないので、地図を広げて航路を確認すると、
別府―広島
のフェリーが昼から出ているのを確認。別府から北九州、そして本州ルートでもよかったのだが、時間(日数)と費用がかかるのでフェリーで一気に広島までワープすることにした。それと、自走するのに疲れているってのも、ある。
延岡から国道で北上、別府についたのは昼前だった。
別府といえば温泉。地獄の湯があるのはここである。そういや去年、大学のサークルで来たところなので、どこに何があるのかはまだ記憶に新しい。
ここの温泉群はとにかく安い。駅前の温泉、そして去年も行った竹瓦温泉は古風漂うレトロな雰囲気の和風の建物の温泉、ここで体と気持ちを綺麗に洗い昼に出航するフェリー乗り場に向けてゆっくりとバイクを滑らせた。
因みに、平成8年当時で竹瓦温泉は50円、当時の値段でもかなり安かった。この辺の人は家のお風呂に入らへんのちゃうかと思ったほどに。
フェリーは昼過ぎに出航、甲板にでて瀬戸内海を見る。左手には本州、右手には四国、天候の良い日は両岸が見える。
その昔、中国の皇帝の使いが船でここを航行したときに
「立派な川ですな」
と言ったとか。世界ってもっともっと広いんだろう。
甲板のベンチで風に吹かれながらいつのまにか寝ていた。やっぱり疲れが出ている。フェリーが広島の港に入る頃には陽はもう落ちていた。
再び本州に上陸。広島は初めての泊つきツーリングで来たところだ。その時は色々と観光し、お腹も心も満たされたことがエスカレートして今でもこうした旅を繰り返している。
今回もその時を懐かしんで色々と回ろうと思ったが既に辺りは夜なので、今回はお好み焼きを食べるだけで市街地を離れ、高速道路に乗って最初のSAで野宿をすることにした。
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本日到達した都道府県。
大分、広島
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作品名:鉄の馬で日本を駆けろ! 作家名:八馬八朔