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鉄の馬で日本を駆けろ!

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   八月十七日 歴史とリゾート


 暑い、自ずと目が覚める。暑いのもそうだけど、沖縄はまぶしい。光の両が多いと説明したらいいのだろうか。とにかく朝から光が強いのです。
 沖縄にいられるのは今日1日のみ。明日は早々に鹿児島に帰るフェリーに乗らなければならない。旅資金も底が見えてきたのでここは仕方がない。なので今日1日は存分に遊んでやろうじゃないですか!
「さあ、行こう!」
今日も調子よく僕と相棒は南に向けて走り出した――。

 宜野湾を南に出てまず寄ったのが首里城公園。ご存知、琉球王朝の都があったところです。日本の文化とは一線を隔する建物に圧倒。外国に来たみたいだ。後日談であるが、台湾で見た史跡もこの類いの雰囲気のものが多かった。日本よりも距離的に近い台湾などの文化に影響を受けたのだろう。
  
   * * *

 それから僕は町を抜けて国道507号線で、本島最南端を目指す。

   ざわわ ざわわ

のサトウキビ畑を両横に見ながら喜屋武(きやん)岬、ここにある平和の慰霊碑で一礼する。沖縄は先の大戦で唯一地上戦のあったところ。日本人として一度は訪ねて起きたかったところだ。沖縄はリゾートとして良いところであるけど、かつて戦争があったことも併せて覚えていて欲しい。
 そしてここを今回の旅での最南端到達地点とした。あとは北上するのみだ!

 戦争を知るということで、それからひめゆりの塔を見学し、せっかく沖縄にきたので近くの名城ビーチで海水浴をした。長い馬上生活だったので日焼け部分は腕と頬くらいだ。今日一日で満遍なく焼けるくらい今日は陽射しが強い!。その後、日焼けしすぎて後悔することになった……。

   * * *

 夕方には那覇に戻り最大の繁華街「国際通り」でお土産を買って自宅に送りつける。そして、今日の野宿ポイントを探すべくフェリーターミナルにバイクを止めて地図を広げ、
「さあ、どこいこかいな」
と地べたに座って思案していたら、年の頃は50半ばくらいのおっちゃんが僕と同じように地図を広げて何やらぼやいている。
「おう、兄ちゃん。おめえも旅の途中かい?」
テレビでも聞かないような江戸っ子口調でマッハテンポで捲し立てる。そのセリフを文章で表現できない自分が悔しいくらい――。
 とりあえず僕は、日本一周の最中でと簡単にここまで来た経緯を説明した。すると、
「おう、その話、いたく感動するじゃねぇか!」
 おっちゃんのペースで話が進む。そして続きを聞かせて欲しいと言って半ば強引に二人で目の前にある古い食堂に入った。

 ここでビールとチャンプルーをいただきながら、話は続いた。おっちゃん東京から鹿児島まで電車乗り継いでフェリーでここまでフーテンしてきたそうだ。話す口調はべらんめえ調の江戸っ子そのもの。聞いてて面白いが笑っちゃいけない。
「そんでおめえさんは、どこで泊まるんでえ?」
「今日はここで野宿でもしようかと……」
「いい話聞いた。気に入った!」
思ったこと言っただけなのになぜか気に入られた。
「おっちゃんが軍資金やるから、ホテルでも〇〇でも行ってこいってもんよ」
とバシッと財布から最高額紙幣を広げた。
「あ……、ありがとう、ございます」
「礼はいらねえ、楽しんで来な」
 そう言って泡盛をグビグビやりだした。
 あの口調は褒められていてもは怒ってるように聞こえる。そんなおっちゃんの御厚意は断れない。断ったらどうなることだか……。
 
 そんなわけで思わぬ軍資金をいただいた僕は今さら遠くに行けず、でもせっかくいただいたので、ここからすぐ近くに見える仮眠室付きのサウナで一泊を過ごすことにした。
 礼はいらねーぜ、とおっちゃんは言ってるけれどこの場を借りてお礼をしておくよ。

 もうちょっと沖縄楽しみたかったけど、まあ次への楽しみとしましょうか……、爆睡。