鉄の馬で日本を駆けろ!
八月十六日 沖縄到着
朝起きると船は島に接岸せんと旋回をしている。到着したのは沖縄ではなくて奄美大島。僕の向かう沖縄はまだまだ向こう、道中で見たら約半分くらいだ。
フェリーは鹿児島を出て、名瀬(奄美大島)、徳之島、沖永良部島、与論島、そして沖縄本島に到着する。この船は島の人々には重要な生命線なんですね。僕は何の気なしに荷物の入れ換え作業をするのを船の上から見ていた。雰囲気はもう既に南国。鹿児島というより、沖縄の雰囲気が漂ってくる。
そして、島巡りも最終目的地へ、
「終着、那覇港に到着します。ドライバーのお客様は……」
時は来た。鹿児島を出てまる一日、稚内の最北端の町からは二週間!僕はとうとう日本最南端の県、沖縄の地を踏むことになるすなわち
日本縦断達成
を意味する。本来の旅はまだ続くのであるが、一つのゴールに到達するということに変わりはない。僕は手荷物をまとめてブーツを履いて、バイク置き場へ降りていった――。
「えーっ、と」
さすがにフェリーは大きいのでバイク置き場はどこだったっけ……
「あ、あった……。え?」
バイク置き場に並んだ単車、鎖に繋いだ単車、単車、牛、牛、単車、単車。
「なんか違うもの混ざってないか?」
そうなんです。バイクと一緒に黒牛も「駐車」されてるんです。行く時はいなかったので、奄美以南の島で乗せられたのでしょう。いやー、ビックリした。さっきも書いたけどこの船は島民の重要な生命線。牛も乗せるわけだ、しかもバイクと一緒に。
二頭のモーモーさんは麦わら帽子のおじさんに引かれて歩いて下船。なんとものんびりとしてる。
* * *
初めて来た沖縄、僕は相棒に跨がり陽が傾いた沖縄の地に上陸を果たした。時間も時間なので思ったほどに暑くなく、今からの行動はあまり得策ではないと判断し、那覇市から少し北へ行った宜野湾市の公園でちょうど良い野宿スポットを見つけ、今日はここで休むことにした。
明日は一日沖縄を楽しんでやろう!
* * *
本日到達した都道府県。
沖縄
(38/47)
作品名:鉄の馬で日本を駆けろ! 作家名:八馬八朔