鉄の馬で日本を駆けろ!
八月十三日 嵐の前に
昨日飲んだ一杯のビールは熟睡をするにはいい薬で、野宿続きということもあり寝覚めは最高に近い。ついでに洗濯もできたのでここでのリフレッシュ作戦は成功と言える。
今日も一日がんばろう、と相棒のタンクを叩き出発の合図をする。本土最南端まではあともう少しだ。
福岡から南へ、太宰府の天満宮に立ち寄る。学問の神様には特に用はないのですが、とりあえず交通安全をお願いして西へ向かう。
そして僕は佐賀県に到達した、ここでは邪馬台国説があると言われる吉野ヶ里遺跡を見学する。邪馬台国の場所は日本史最初のミステリー、確かに大きな遺跡で、復元された三段櫓にのぼって遺跡を一望する。果たして卑弥呼はここでこうしてムラを見ていたのだろうか?
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さらに単車は西へ進み、長崎県に到達。長崎と言えば皿うどん。大浦天主堂と世界平和の銅像を見学したのち、そこそこ有名そうな店を調べて皿うどんを食する。
ここで穏やかでないニュースを耳にする。
大型で勢力の強い台風12号が九州に向けて近づいているそうだ。沖縄ではすでに暴風域に入っており、明日の交通アクセスはストップしているとの情報が。
身近なところでもその影響が来ている。有明海を横切る航路も明日は運休だそうだ。となると今日中に長崎を出て熊本に渡らなければならない。それを知って僕は長崎市を離れ、早々に島原方面に向かい、その日最後の熊本行きのフェリーに飛び乗った。これを逃せば二日は足止めである。沖縄行きのフェリーに間に合わない。
とはいえ台風の脅威はゆっくりと近づいている。僕はそんな不安を抱えつつ、到着した熊本市の水前寺公園の近くにある川沿いの東屋で野宿をすることにした。明日は厳しい一日になりそうだ!
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本日到達した都道府県。
佐賀、長崎、熊本
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作品名:鉄の馬で日本を駆けろ! 作家名:八馬八朔